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2021.10.24 08:00

【2021衆院選 エネルギー政策】脱炭素へ問われる責任

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 気象災害の脅威をいかに抑制するか。各地で頻発する洪水や山火事への現実的な危機感を伴って、地球温暖化対策は国際社会で最大の関心事になっている。今月下旬から英国でCOP26(気候変動枠組み条約第26回締約国会議)も開かれる。
 日本は2030年度の温室効果ガス排出量を13年度比で46%削減する目標を掲げ、「50%削減」へ「たゆまざる努力を続ける」と表明している。実質的な「国際公約」と言ってよい。衆院選は各党の公約を通じ、実現への具体的な道筋を吟味する機会でもある。
 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による最新の予測は、異常気象に人間の活動が影響していることは「疑う余地がない」と断定した。温暖化のペースは従来の分析より10年も早まっている。
 政府は50年までに排出量を実質ゼロにする目標を改正地球温暖化対策推進法に明記。従来の姿勢が消極的と批判された経緯もあり、30年度の削減目標を大幅に引き上げた。
 実現は容易ではないが、達成できなければ国際社会の信頼を大きく損なう。排出量全体の4割を占める電力部門の対応が鍵を握る。
 政府は、目標の根拠となるエネルギー基本計画を閣議決定した。太陽光や水力など再生可能エネルギーは30年度の電源構成を現行の「22~24%程度」から「36~38%程度」へと引き上げ、「主力電源化を徹底」すると明記した。
 再生エネの普及は排出量削減に加え、自給率向上に寄与しよう。燃料費の海外流出を減らし、資金の国内循環につながる。目標にこだわらず可能な限り上積みしたい。課題である送電網拡充を急ぐ必要がある。
 問題は、現行目標の「20~22%程度」を据え置いた原発だ。温室効果ガスは出さないものの、世論の反発は根強い。東京電力福島第1原発事故の反省から「可能な限り依存度を低減する」との方針を維持した一方、政府は「必要な規模を持続的に活用する」と書き加えた。
 実現には約30基の原発を稼働率8割で動かす必要があるとされるが、再稼働したのは10基にすぎない。この差をどう埋めるのか。政府は明確な説明をしないままだ。
 この点、自民党は公約で既存原発の再稼働に加え、小型炉の開発や核融合発電の実用化を掲げた。だが事故以来、原発への強い不信感を抱く国民の理解を得られるだろうか。
 東電や日本原子力発電といった事業者では企業統治や安全性への認識が疑われる問題も発生している。公明党も原発ゼロを掲げ、与党内の足並みはそろっていない。野党各党も時間的な幅はあるものの、おおむね原発ゼロを目指す。
 課題は原発だけではない。50年に脱炭素社会を実現するには、国際的な風当たりが強まる石炭火力発電の扱いも問題になる。先進国として、地球環境への責任をどう示すかが問われている。

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