2020.12.25 20:27
鼠径ヘルニア、脱腸とは【こうち医療ウォッチ】高知記念病院
高知記念病院 消化器外科 北川 尚史 医師 【経歴】
昭和49年 高知学芸高校卒業 昭和56年 防衛医科大学校卒業 昭和58年 近森病院勤務 平成26年3月 高知記念病院消化器外科
鼠径ヘルニアは小児、中高年に多く認める病気です。小児は胎生期の異常、中高年者では弱い組織のため袋ができ、脱腸の原因となります。
症状としては、立位、歩行時の飛び出しのため、鼠径部が膨らんで、違和感、痛みがあり、まれに強く袋の中に小腸が脱出し、腸閉塞(へいそく)、嵌頓(かんとん=締め付けで元に戻らない)、腸壊死(えし=腸が腐る)が起き、生命に関わる場合があります。膨らみが頻回に起きる場合や、痛みが強い場合は注意が必要です。
この病気は自然に治ることがなく、嵌頓を未然に防ぐためにも手術が求められる病気です。手術治療は、小児の場合は袋の閉鎖、中高年での手術では袋の切除とともに、弱った組織補強のため網目状のメッシュを挿入します。
脱腸の症状がある人は手遅れにしないためにも、一度医師の診断を受けることをお勧めします。
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