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2021.09.01 08:32

ドアからのぞき見、円形舞台でダンス「月灯りの移動劇場」公演 コロナ下の新鑑賞方式 9/4に高知県立美術館

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ダンスカンパニー「月灯りの移動劇場」の舞台装置(今年2月、名古屋市内)

ダンスカンパニー「月灯りの移動劇場」の舞台装置(今年2月、名古屋市内)

 新型コロナウイルス下の新しい舞台鑑賞形式での上演が注目されている、名古屋市のダンスカンパニー「月灯(つきあか)りの移動劇場」が9月4日、高知市高須の県立美術館ホールで初公演を行う。円形ステージをぐるりと囲んだ個室のような空間から“のぞき見る”スタイル。ダンサーら3人が織りなすパフォーマンスが鑑賞者を作品世界にいざなう。

 「月灯り―」は2015年、パリを拠点に活動していた舞踏家で演出家、振付家の浅井信好がマイム俳優で演出家、振付家の奥野衆英(しゅう)と設立。地元の町工場とも連携しながら、「ものづくり+舞台芸術」をテーマに独自の作品を手掛けてきた。

 昨春、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、同劇場でも多くの公演がキャンセルに。浅井らは、映像を使った活動に軸足を移しながらも「『ソーシャルディスタンス(社会的距離)の保持』『密を避ける』といった(舞台芸術にとって)ネガティブな部分をポジティブに変えることはできないか」と上演方法を模索していた。

 浅井自身がカメラのファインダーをのぞく機会が増える中、自分が「見たい」対象に視線を向ける動きにダンスと重なるものを感じたという。芸術文化の歴史なども振り返る中、鑑賞者が安心しながら能動的に“のぞき見る”形式にたどりついた。

 直径約11メートルの円形ステージの周囲に30枚の木製ドアを配置。鑑賞者は1人ずつ、ドアと左右の仕切り板に囲まれた空間に陣取り、ドアスコープと郵便受け口に見立てた穴や隙間から作品を鑑賞する。

 鑑賞者はドアスコープと郵便受け口から作品を鑑賞する

 鑑賞者はドアスコープと郵便受け口から作品を鑑賞する

 昨年12月に初作品「Peeping Garden(ピーピングガーデン)(のぞき見る庭)」を発表。今年2月に第2弾を上演し、斬新な観劇手法として英国やフランスなど国内外のメディアで相次いで紹介された。

 初演を経て「お客さんから『(演者に)すごく見られている気がした』などの感想を頂いた。僕自身、この円形劇場の可能性や特性について改めて考えるようになりました」(浅井)。

 “のぞき見る”ことを通じてどんな感情が人の心に芽生えるのか。そして、現代社会とどう結びつけられるのか―。さまざまな考えを巡らし、演出に盛り込んでいった。

 上演演目「Peeping Garden/re:creation(レ クリエーション)(再生)」には、浅井、奥野と「月灯りの―」ダンサーの杉浦ゆらが出演。自然への回帰、持続可能な社会に向けた“循環”への旅が描かれる。

 浅井は「ダンサーの体が風景の一部に溶け込んでいるような、僕がずっと取り組んでいる世界観を作品に取り込んでいます。高知でも最高のパフォーマンスができるよう臨みたい」と話していた。

 ◇  ◇ 

 午前11時、午後2時、5時からの計3回。各回28人限定。3千円(当日3500円)。予約は電話(070・5642・8406=平日午前9時~午後5時)、または「月灯りの―」の公式サイトの予約フォームへ。メール(tsukiakaritheater@gmail.com)の場合は(1)会場名(2)公演日時(3)枚数(4)氏名(5)電話番号(6)メールアドレスを記載する。(竹村朋子)

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