2021.09.29 08:00
小社会 ナシの礼状
進物として県外に送り、これほど驚かれる名産品も珍しい。赤ちゃんの頭ほどもある大玉にまずびっくり。大きいから大味かなと食べてみて、予想外のみずみずしい甘さにまたびっくり。「初めての食体験でした」と感嘆の礼状が届く。
礼状を書いた一人に正岡子規がいる。病に伏せる東京・根岸のわび住まいに、門下で吾川郡弘岡下ノ村(現高知市春野町)出身の若尾瀾水(らんすい)から見舞いの高知産ナシが届いた。弟子に宛てた「見事なる大梨ありかたく候」のお礼に「ザボンより大きな梨をもらひけり」の句を添えている。
もっとも新高ナシが世に出たのは昭和に入ってからだから、子規が賞味したのは高知原産の「今村秋」らしい。新高ナシは長らくその今村秋を父、新潟原産の「天の川」を母とする交配種とされてきたが、10年ほど前のDNA鑑定で、実は父が神奈川原産の「長十郎」であることが分かった。
意外な出生の秘密が明らかになったわけだが、とはいえ全国に誇る美味に育て上げた本県農家の名声がいささかも減じるわけではない。土佐の食欲の秋にでんと座る大玉の存在感も揺るぎない。
さて今年の出来はどうか。食味会での評価は上々との記事を読んだ。シーズン到来が待ち遠しい。
9月29日のこよみ。
旧暦の8月23日に当たります。かのえ たつ 五黄 赤口。
日の出は5時58分、日の入りは17時53分。
月の出は23時12分、月の入りは13時20分、月齢は22.1です。
潮は小潮で、干潮は高知港標準で4時48分、潮位71センチと、16時26分、潮位132センチです。
満潮は12時22分、潮位141センチと、21時42分、潮位147センチです。
9月30日のこよみ。
旧暦の8月24日に当たります。かのと み 四緑 先勝。
日の出は5時59分、日の入りは17時52分。
月の入りは14時10分、月齢は23.1です。
潮は小潮で、干潮は高知港標準で6時19分、潮位75センチと、20時21分、潮位133センチです。
満潮は14時45分、潮位146センチです。