2021.08.28 08:40
酒停止で休業続出 まん延防止、県内飲食店を直撃「この先どうなるか」 新型コロナ
酒類提供が禁止され、昼時もがらがらになったひろめ市場(高知市帯屋町2丁目)
ひろめ市場はこの日から新たに6店が休業し、全54店の3分の1が閉まった。前日までにぎわった昼時も客はぐっと減少。ノンアルコールビールでカツオのたたきをほおばる観光客がちらほらと。
休業を決めた「くうてや」の山本雅一社長(68)は「お客さんは酒を飲みに来る。店を開けても意味がない」とため息をついた。
県は19日、対応ステージを「非常事態」に引き上げ、高知、南国、香南の3市で9月3日まで飲食店の営業を午後8時までとするよう求めていた。重点措置により新規感染者が集中する高知市は酒類提供が終日禁止され、時短要請も9月12日まで延長された。
同市杉井流で酒販店を経営する近藤善郎さん(49)には、重点措置が濃厚になった25日に、休業を伝える飲食店の電話が次々入った。「納入先の8割が休業。配達はなくなった。開店休業状態です」と肩を落とす。
日中の酒提供が売りの居酒屋「葉牡丹」も9月12日まで休業に。吉本豊社長(73)は「酒を出してなんぼの店。年配の従業員も多く、安全面を考えた」。ほかにも、市中心部の至る所で休業を伝える張り紙が出された。
多くの店が休業する一因に、要請に従わない場合は過料という罰則が科される可能性を挙げた。県から明確な規定は示されていないものの、「ビール1杯出して“罰金”はたまらん」という声が漏れる。
ある居酒屋の経営者は「ノンアルの提供で営業しながら様子を見る」という。「酒が出せないなんて未知の領域。この先どうなるかは誰にも分からん」と言い残し、真っ暗な繁華街に向かった。
一方、なお夜まで店を開け、酒類提供を続ける飲食店もある。経営する男性は「協力金の1日3万円じゃ大赤字だし、協力できる要請内容でもない。罰則、覚悟の上です」と話した。
また、千平方メートル以上の大型商業施設は、客が増え過ぎると制限するよう要請される。高知大丸は「出入り口で客を数え、コロナ禍前の50%以下に保っている」、イオンモール高知も「混雑度を算出して、店内の電子案内板やウェブサイトで表示している」と説明。
両店ともこれまでに制限したことはないという。27日も大きな変化はなかった。(八田大輔、宮内萌子)