2021.08.28 08:37
フォっトけないす 音楽文化を地下から発信 自宅カフェ「風雅」(四万十市)
カフェ「風雅」の防音室。階段を下りた地下にあり、まるで秘密基地のような雰囲気だ(写真はいずれも四万十市中村桜町)
奥から響いてくるのは、リズミカルなドラムの音。四万十市中村桜町の自宅で夫妻が営むカフェ「風雅」。秘密基地のような防音室が備えられている。
ドラムのレッスンにも使われる防音室。壁には「風雅」で行ったライブのフライヤーが一面に張られている
約20平方メートルの防音室は元々、ドラムやギターなどをたしなむ3きょうだいのリクエストで造ったもの。設計段階で「私たちの部屋はいらないから防音室を」と懇願されたと夫妻は笑う。
ドラムのレッスンを見守る柴田耀さんと美千代さん
耀さんが故郷、鵜来島(宿毛市)の漁師の姿を描いて作詞し、美千代さんが作曲、長男の創さん(44)が編曲した「島の舟歌」も、17年にこの地下室で収録。これ以降、作曲や収録、CD制作など、幅広い依頼が舞い込むようになった。
市内の男性は、娘が藤祭りの玉姫役に選ばれた記念に詞を書き「メロディーを加えてCDにしたい」。土佐清水市からも「恩師が書いた詞に曲をつけたい」。夫妻と創さんは「地域に喜んでもらえたらうれしい」と、楽曲制作からCD化までをリーズナブルに請け負っている。
これまで20曲以上が収録され、現在も3組の楽曲を制作中。「オリジナルの詞や曲などを形にすれば、歌い継いでいくこともできる」と美千代さん。地域の音楽文化は、この家の地下からも発信されている。(幡多支社・今川彩香)