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2021.08.29 08:00

小社会 映画の自由

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 映画界の巨匠、黒沢明監督は戦時中、脚本をめぐって内務省の検閲官とやり合っている。ある作品で、フィリピンの娘の誕生日を同じ職場の日本人が祝ってあげるシーンだった。

 検閲官は、誕生日を祝う行為が「米英的な習慣だ」と難癖をつける。若き日のクロサワはやり返した。「天長節ももってのほかの行為か」。検閲官は真っ青になったが結局、脚本は葬られた。

 「時の権力に飼い馴(な)らされた木っ端役人ほど怖い者はいない」「彼らの事を思い出すと、思わず身体が慄(ふる)えて来る」。自伝「蝦蟇(がま)の油」を読むと、後年も怒りは収まらなかったらしく、その部分はひときわ筆致が荒々しい。

 戦前の映画法は当初、映画の質的向上や健全な発達を図るといううたい文句だった。しかし、皇室や帝国に対する冒瀆(ぼうとく)や、「その他国民文化の進展を阻害する」恐れのあるものといった検閲基準が映画の自由を奪っていく。

 香港政府が映画の検閲を強化し、「国家の安全に不利」と判断した作品の上映を禁じるという。関係者からは「創作の自由に対する死刑だ」と批判が出ている。中国に批判的な新聞が廃刊に追い込まれたばかりの香港から、急速に自由が窒息していくニュースが次々に届く。

 「思う事を何も云(い)えなかった私達は、一せいに、それまで胸に収めていた事を喋(しゃべ)りはじめる」。黒沢監督は終戦直後の映画界の空気をそう書く。隣国の人々の胸中をつい重ねる。


8月29日のこよみ。
旧暦の7月22日に当たります。つちのと とり 九紫 仏滅。
日の出は5時38分、日の入りは18時36分。
月の出は22時28分、月の入りは11時46分、月齢は20.5です。
潮は小潮で、干潮は高知港標準で3時49分、潮位71センチと、15時28分、潮位101センチです。
満潮は10時01分、潮位153センチと、21時37分、潮位168センチです。

8月30日のこよみ。
旧暦の7月23日に当たります。かのえ いぬ 八白 大安。
日の出は5時38分、日の入りは18時34分。
月の出は23時04分、月の入りは12時43分、月齢は21.5です。
潮は小潮で、干潮は高知港標準で4時41分、潮位75センチと、16時03分、潮位116センチです。
満潮は11時11分、潮位142センチと、22時10分、潮位160センチです。

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