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2021.06.30 05:00

【線状降水帯速報】豪雨に備えた避難計画を

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 気象庁は「顕著な大雨に関する気象情報」の運用を始めた。豪雨災害の一因とされる「線状降水帯」の形成を確認した際に速報される。
 大雨・洪水警戒レベルの5段階のうち、災害発生の恐れが高いレベル4以上に相当する情報で、危険が迫っていることを知らせる。沖縄本島地方できのう初めて発表された。
 災害から命を守るため、これらの情報を活用したい。気候変動によって豪雨被害が多発している。どういったルートで、どこに避難するか。日頃から計画しておく必要がある。
 積乱雲が次々と発生し、風に流されながら線状に連なった「線状降水帯」は、同じエリアに数時間にわたって強い雨をもたらす。気象庁は長さ約50~300キロ、幅約20~50キロの降水域と定義している。
 2018年の西日本豪雨をはじめ、線状降水帯に起因した豪雨災害が相次いだことで、この気象用語は広く知られるようになった。
 運用が始まった「顕著な大雨に関する気象情報」は、都道府県の地方ごとに発表される。本県の場合は東部、中部、西部の三つだ。
 レーダーの解析雨量や雨雲の分布などが発表基準になる。気象庁がホームページに地図形式で掲載する大雨警報、洪水警報の「危険度分布」で「極めて危険」(濃い紫)のエリアを含むことも条件だ。
 継続している場合は3時間おきに続報を出し、油断を生みかねない「解除」という言葉は使わない。
 あくまで発生の速報であり、予報ではない点にも気を付けたい。発表された時には、対象地域は大雨に見舞われている。住民が避難を始めるきっかけとしては遅いとされる。
 政府の防災情報である大雨・洪水警戒レベルに注意し、逃げ遅れないよう行動を始めたい。高齢者や障害者はレベル3で避難する。レベル4で、危険な場所にいる人は全員避難しなければならない。
 また、線状降水帯の発表基準を満たさなくても、災害が起きる恐れはある。気象庁が西日本豪雨でシミュレーションしたところ、愛媛、広島の両県では発表基準を満たしたが、8千棟以上の住宅が全半壊し、多数の犠牲者を出した岡山県は基準に達しなかった。
 大きな河川の上流域に線状降水帯が発生した場合、雨が降っていない下流域でも水位の上昇で被害が出かねないことも知っておきたい。
 気象庁は来年の梅雨期から、線状降水帯が発生する可能性を半日前には予測することを目指している。観測網を充実させ、人工知能(AI)も取り入れて、予測が進歩していることに期待したい。
 一方で、気象庁が発表する情報は種類が多く、住民に分かりづらいことも指摘されている。危険度が伝わりやすい情報提供の方法を追究しなければならない。
 そして、その情報を活用し、避難行動につなげるのは私たち住民だ。「空振り」になることをいとわず、早めに行動することが命を守る。出水期を迎えた今こそ肝に銘じたい。

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