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2021.04.28 08:00

【ミャンマー情勢】ASEANは積極関与を

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 ミャンマー情勢の改善へ、合意を順守しなければならない。
 東南アジア諸国連合(ASEAN)の臨時首脳会議はミャンマーを巡り、暴力の即時停止や人道支援、特使派遣など5項目の合意を柱とする議長声明を発表した。
 ASEANは内政不干渉を原則とする。それだけに、異例の対応となる臨時首脳会議の開催は、ASEANの危機意識の表れとも言える。弾圧による市民の犠牲者は700人を超える。収束へ主導的な役割を果たさなければ、組織の求心力や信頼性を失いかねないためだ。
 だが、残念ながら各国の反応には温度差がある。弾圧を厳しく非難する国がある一方、自らの統治に批判の矛先が向かうことを恐れて関与には消極的で、首脳の参加を見送った国もある。
 3月のオンライン形式の臨時外相会議は、暴力の抑制を求める議長声明を発表した。しかし、具体策には踏み込めなかった。ミャンマーではその後も弾圧は続いている。
 今回の対面での臨時首脳会議には、ミャンマーからは国軍トップのミン・アウン・フライン総司令官が出席した。2月の政変後、初の外遊となった。軍政が「正統性」を得る機会ととらえ、また統治への自信を示す思惑がうかがえる。
 総司令官は、暴力の即時停止には態度を明確にしなかったという。これでは国際的な孤立を深めることになる。合意事項として議長声明に盛り込まれたことであり、責任ある対応を求めたい。
 一方、特使受け入れには前向きな姿勢を示したとされる。国軍はまず市民への弾圧をやめ、派遣が実現するよう協力するべきだ。特使が全当事者と面会することを通して、対話への環境など新たな局面をつくり出すことが必要だ。
 ミャンマーの民主派でつくる「挙国一致政府(NUG)」は、合意を歓迎する声明を発表した。前向きの動きととらえたのだろう。
 ただ、議長声明はアウン・サン・スー・チー氏や拘束された政治家らの釈放には触れていない。
 国軍はNUGを非合法組織に認定している。首脳会議に先立ち、NUGの「閣僚」ら26人に、最高刑が死刑の反逆罪などの逮捕状を出し、圧力を強めている。
 反軍政デモは弾圧を受けて、最近は少人数の散発的なものになっているという。抗議を呼び掛ける著名人らを指名手配するなど、民主派の抑え込みを徹底して行っている。
 一部の若者は武力闘争も辞さない構えで、国軍と対立する少数民族武装勢力との共闘も伝えられる。弾圧は負の連鎖を生み出そうとしている。泥沼化を阻止しなければ、平和的な解決は遠のくばかりだ。
 内政不干渉を原則とするASEANではあるが、ミャンマーの混乱は地域の安定に影響を与えかねない。正常化に向けた国際社会の関与が不可欠で、特にASEANが一枚岩となった実効性のある取り組みで事態の好転を実現したい。

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