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2021.04.27 08:00

【3選挙自民全敗】菅政権への厳しい批判だ

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 衆院議員の任期満了が10月に迫り、前哨戦と位置付けられた衆参3選挙で、自民党は不戦敗を含め全敗した。菅政権の評価を問う初の国政選挙での敗北だ。
 菅義偉首相(自民総裁)は、「謙虚に受け止める」と述べた。衆院解散時期への影響を問われ、「新型コロナウイルス対策に最優先で取り組む考え方に変わりない」と応じた。それ自体は当然だ。だが、そのコロナ対策にしても、国民の強い支持があるのか心もとない。
 国民の理解がなければ対策の十分な効果は期待できない。コロナ対策にとどまらず、説明責任としっかり向き合って信頼を得る姿勢を示すことが不可欠だ。
 投開票されたのは、衆院北海道2区と参院長野選挙区の補欠選挙、参院広島選挙区再選挙だ。
 主要争点の一つは、選挙の背景にもなった「政治とカネ」だった。公選法違反(買収)で有罪が確定した河井案里前参院議員=自民離党=の当選無効に伴う広島の再選挙は、この問題に対する有権者の批判の強さを見せつける結果となった。
 2019年の選挙では、案里前議員の夫で議員辞職した克行元法相=同、公選法違反罪で公判中=は、地元議員ら100人に計約2900万円を配ったとされる。
 自民党本部は、県連の反対を押し切って改選2議席に現職と案里前議員を擁立し、案里陣営に現職の10倍となる選挙資金1億5千万円を提供している。政党助成金も含まれる資金が買収の原資になったかどうかが焦点となっている。
 当時、官房長官だった首相も支援している。今回は首相の現地入りは検討もされなかったという。県連側とそれほどのしこりが残っていることが、肩入れのゆがみ具合を見せつける。投入資金の使途を解明し、再発防止につなげなければならない。
 しかし、首相は選挙後も、書類が押収されていることを理由に説明を避けている。有権者は政治とカネの問題に拒否感が強い。解明を通して信頼を取り戻すことが不可欠だ。保守地盤での敗北を重く受け止める必要がある。
 北海道の補選は、吉川貴盛元農相=同=の議員辞職による。元農相は大臣在任中に鶏卵大手元代表から現金を受け取ったとして、収賄罪で在宅起訴された。
 自民は候補者を立てなかった。だが、それで終わりとはならない。政官業の癒着が行政をどうゆがめたのか解明が求められる。それに取り組む姿勢が信頼回復の鍵を握る。
 政官業の癒着はほかにも問題となっている。総務省幹部の接待問題は、放送事業会社に勤める首相の長男も関わっている。NTTからの接待攻勢も明らかになった。引き続き国会での追及が欠かせない。
 野党の共闘は成果につながったが、寄せ集めにすぎない実態も露呈した。政策を巡り不協和音が出るようでは頼りない。野党の低迷が政治の緊張感を失わせる一因であると強く自覚することだ。

高知のニュース 社説

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