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2021.04.24 08:00

【3回目の宣言】目に見える効果が重要だ

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 政府は新型コロナウイルス感染症対策で東京、京都、大阪、兵庫の4都府県に緊急事態宣言を発令すると正式に決めた。発令は昨年4月、今年1月に続く3回目で、期間は25日から5月11日までとした。
 対象地域は、宣言に準じたまん延防止等重点措置から対策を格上げした形となり、生活や経済活動への制約も長期化する。政府や自治体は住民の納得を得る十分な情報発信と補償を通じ、対策の実効性を上げるよう努めなければならない。
 具体的な対策は、飲食店の営業時間短縮に重点を置いた2回目や重点措置より大幅に強化される。
 酒類を提供する飲食店のほかテーマパークなどにも休業を要請し、百貨店は生活必需品の売り場を除き休業を求める。スポーツイベントなどは原則、無観客とする方針だ。
 学校は一斉休校にはしないが、部活動には一定の制限や自粛を求める。鉄道やバスなど公共交通機関にも終電の繰り上げや休日の減便といった協力を依頼するという。
 これまで主眼を置いてきた飛沫(ひまつ)感染対策に加え、経済活動への影響から慎重だった、人の流れの抑制にまで踏み込む格好だ。市民生活への影響はより大きくなり、私権の制限につながる恐れも膨らむ。
 ただ、感染力の強い変異株に対して、重点措置の効果が不十分だったのは明らかだ。協力してきた事業者らへの補償を前提として、より強い措置を取ることはやむを得ないだろう。人命には代えられない。
 一方、宣言の期間設定には疑問が残る。対策に伴う副作用を考えれば「大型連休を中心に」(菅義偉首相)した「短期決戦」が長期に及ぶより望ましいにせよ、果たして十分な効果が得られるだろうか。
 大阪は重症病床が事実上満床の状態が続き、東京では感染が変異株に入れ替わると2週間後には新規感染者が2千人以上、入院患者が6千人以上になるという試算もある。
 宣言で人の流れや行動が変わったとしても、新規感染者数に反映されるまでは約2週間かかるとされる。感染を抑制し、医療現場の崩壊という現実的な危機を回避できるか、効果を見極めるのに17日間という期間は短すぎるようにみえる。
 1、2回目と同様、延長も視野には入っていよう。しかし、5月17日には国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が来日する予定で、スケジュールありきではないかとの見方も出ている。
 2回目の宣言は流行再拡大への懸念がくすぶる中で解除され、結果的には重点措置、そして今回の宣言と新たな対応が必要となった。同じ轍(てつ)を踏まぬよう、目に見える効果が求められる。
 今回、宣言発令に合わせ、愛媛県が重点措置の対象に追加された。県内でも新規感染者が連日発生し、変異株の感染も増えている。都市部の宣言発令や隣県の危機は対岸の火事ではない。マスク着用や手洗いの徹底といった予防対策を改めて心掛けたい。

高知のニュース 社説

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