2002.02.11 09:30
土佐の果物語(19) 第3部 (3)西内小夏 ポコリと枝変わり
「(東洋町は)宿毛に比べるとぬくうはないけど、昼と夜の温度差が案外ある。おいしいもんができるがよ。実が凍らないぎりぎりの線なんよね」
ぷんと木の香りのする西内さん宅の一室で、ポンカン産地としても知られる同町の果樹のおいしさの秘密を教えてもらった。
西内さんは父親の代からポンカンと小夏を栽培している。
「普通の小夏を植えたけんどなかなか実がならんでねえ…。全体がならんのに、一つの枝だけ、もぶれつくぐらいなっちょった。おかしいなあと思うてね。何か(他の枝とは違った花粉)が受粉しちゅうがやないろうかと思うて、実を切ってみると種がシイナ状(ほとんど種子が発達していない状態)になっちょった。その穂木を別の木に継いだわね。その継いだのにも同じもんができて…。ポコリッと、その枝だけが変わっちゅうなとキャッチしたわけ」
宿毛小夏の久保さんと同じように、さらりと言う。
しかし、西内さんの園には何百本もの小夏の木が植えてある。その中から枝変わりを見つけるのは、並大抵のことではない。
高知市中央卸売市場にある高知青果市場で小夏を担当する川村泰司さんによると、「普通の園でも枝変わりはあると思うが、それに気付くかどうか。ぎっちり回りよってこそ、見つけ出すことができる」そうだ。
西内さんにこの西内小夏の特長を教えてもらった。
「普通の小夏は種が結構あって、その分、食べる部分が少ない。うちの西内小夏は種はあっても、ひしゃげていて小さいんよ。食べる部分が多くて、無核(種なし)に近い。それが第一点目の特長」
よどみのない口調で西内さんの説明は続く。