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2021.09.25 08:00

【みずほ改善命令】自力で改革する気概持て

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 システム障害が相次いだみずほ銀行と親会社のみずほフィナンシャルグループ(FG)に対し、金融庁は銀行法に基づいた業務改善命令を出した。システムの運用を国が実質的に監視する異例の処分を先行させ、経営責任の明確化を求める改善命令は改めて出す方針という。
 金融庁は今春から検査を進めてきたが、そのさなかにもトラブルが多発したことを重視した。このままでは障害の再発は避けられないと判断したのだろう。みずほの危機対応力を厳しく評価したゆえの対応だ。みずほFGは処分を重く受け止めるべきだろう。
 みずほ銀行ではことし2月以降、顧客に影響が出るシステム障害が7回も発生している。
 特に、2月のトラブルでは現金自動預払機(ATM)の約8割が停止し、5千を超すキャッシュカードや通帳がATMに取り残された。混乱が拡大したことでシステム運用だけでなく、情報発信や顧客対応の在り方など企業統治全般に厳しい目が向けられた。
 金融庁は通常、金融機関の不祥事に対し、原因究明のための検査が完了して、改善のめどが付いた段階で処分する。
 しかし現状、システム障害の原因も特定できておらず、新たな障害への懸念も拭い去れていない。監督官庁としても自立的な改善を待っていられない状況なのだろう。
 業務改善命令の内容にも、金融庁の厳しい姿勢が見て取れる。システムの更新や保守などの計画を提出した上で、その必要性や緊急性を再検証するよう指示した。
 基幹システムの運用に関しては当面、みずほ側に自主判断させず、金融庁が直接関与する内容といってよい。システム更新も最小限に抑えられる見通しだ。すでにスマートフォン向けのアプリでリニューアルの延期を発表している。
 銀行業務はデジタル化が加速しており、その競争力はシステムの能力に大きく左右される。サービス計画に影響が波及すれば、長期的な経営戦略にも関わりかねない。
 障害の再発防止を最優先した措置とはいえ、国が民間企業の経営に強く関与する状況は本来、好ましくはない。企業統治や危機対応力への信頼を回復させる取り組みを急がなければならない。
 みずほFGはことし6月にまとめた報告書で、2019年夏に本格稼働した基幹システムに欠陥はないとした上で、運用に関わる人的要因を挙げていた。
 ただ、4社が共同開発したシステムの構造の複雑さを指摘する声もある。再発の防止には適切な問題点の分析が欠かせない。先入観を排して一から現状を見つめ直す必要があるだろう。
 みずほ銀行は全都道府県に支店を持つ唯一のメガバンクで、地域経済にとっても存在感は大きい。重要な社会インフラを担う企業の責任として、あくまで自力で改革を推し進める気概を求めたい。

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