2021.08.25 08:45
自宅療養で悪化、たらい回し 高知市の20代女性が実情語る 新型コロナ
コロナに感染して自宅で療養する女性(高知市内=提供写真)
家庭内感染恐れも
女性は19日朝、発熱の症状があったことから病院で検査を受け、同日中に感染が判明した。市保健所からは最初、「入れるホテルか病院が見つかるまで自宅待機してください」と連絡があったが、その後、10日間の自宅療養を告げられた。
19日は38度以上の熱があり、体を重く感じた。ただ、嗅覚と味覚はあり食事も取れた。「自宅で急変なんて自分は無関係か」と余裕もあった。幸い、濃厚接触者になった同居の両親は陰性。自分の具合より家族にうつさないかが心配だった。
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しかし、21日午前1時ごろ、体調が急に悪化した。シャワーを浴びようとしていたところ、めまいに襲われ、手、足、体がしびれて意識がもうろうとした。
「風邪の症状とは全然違う。私、コロナなんだ」。女性は急に怖くなった。今の病状を知りたかったが、血中酸素濃度を測る機器(パルスオキシメーター)はまだ配布されていなかった。
「しんどい、病院に行きたい…」。別室で寝ている母に携帯から電話をかけた。
ただ事でないと感じた母親は、わが身を顧みずマスクだけの状態で娘のもとへ。ベッドに横たわった娘の目はうっすらとしか開いておらず、「もう焦りました」。
保健所からは緊急連絡先が示されておらず、母親は夜間診療がある近くの病院に連絡した。すると「うちでは対応できない。保健所へ」と言われ、濃厚接触者に渡される文書に載っていた番号に連絡。今度は「夜間に対応できる人がいない」と、市の地域保健課の番号を教えられた。
そこでは「県に連絡を」と言われ、県庁の代表番号へ。どこかの部署の職員が受け入れ病院を探してくれたが見つからず、結局、救急車を呼んだ。
間もなく救急車が来て、隊員が血中酸素濃度を測定。たらい回しにされている間に、症状は落ち着き、数値も平常だった。女性は不安から「病院に行きたい」と言ったが、「軽症なので」と受け入れられなかった。
「家で寝ているしか私に選択肢はない、とむなしくなった」と女性。母親は「今も夜が不安です」と話す。
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自宅療養には家庭内感染のリスクも付きまとう。
一戸建てで、生活スペースは1階が女性、2階は両親に分けた。女性は部屋にこもり、用があれば電話やメッセージで連絡する。
両親も濃厚接触者のため外出はできず、食料品や日用品の調達はままならない。カップラーメンやレトルトの食事ばかりだという。
家族で共用する水回りでは、風呂と洗面台を使うたびにアルコール消毒が必要。女性はシャワーの回数を控え、両親との接点を減らすようにしている。
保健所の担当者は健康観察の連絡を「毎日します」と言ったが、ない日もあった。「(保健所も)いっぱいいっぱいなんだなと。でも、自宅療養で見放されると、頼るところがない」。少しでも早く不安が解消される体制が整うことを願っている。(浜田悠伽)