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2021.08.24 08:00

【東京パラ開幕へ】共生社会を考える機会に

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東京パラリンピックがきょう開幕する。約160の国・地域と難民選手団の計4500人ほどが参加する。身体や視覚、知的障害などがあり、年齢や経験も異なる選手が困難を乗り越えて限界に挑む。
 新型コロナウイルスの感染拡大で、東京五輪と同じく1年延期された。感染防止に最善を尽くすことはもちろん、選手たちが持てる力を存分に発揮できる大会としたい。
 多様性の尊重が打ち出される祭典には期待の一方で不安もある。大会は原則無観客で開催される。デルタ株が広がり感染が急拡大している。緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の対象地域が広がり、医療体制は逼迫(ひっぱく)している。
 コロナ下の大規模イベントには厳しい見方がある。感染対策を緩めてしまう印象を与えないよう、丁寧な運営を心掛けることだ。選手には重症化リスクを抱える人もいる。五輪で不十分だった対応をしっかりと修正することが必要となる。感染状況によっては大会の中断をためらうべきではない。
 酷暑の中での開催となることも危惧される。東京五輪では気温上昇により熱中症や棄権も相次いだ。体温調整が難しい選手もいる。選手がベストの状態で臨めるよう、開催時間の変更など柔軟で細やかな対応が求められる。
 日本は実施する全22競技に254人が出場する。東京五輪で日本勢は史上最多のメダルを獲得した。パラの日本代表もそれを追い風に奮起を誓っていることだろう。
 もちろん各国選手も活躍への思いは同じはずだ。多様性や可能性を感じさせるそれぞれの躍動が観戦者に深い感動を与える。
 高知県勢は、車いすラグビーの池透暢(ゆきのぶ)、パラバドミントンの藤原大輔、パラカヌーの小松沙季の3選手が出場する。
 池選手は前回リオデジャネイロ大会で銅メダル、2018年の世界選手権では金メダルをつかんだ。世界3強の一角に位置付けられる力があるチームの主将として臨む。
 藤原選手のパラバドは東京大会が初採用となる。国際大会でもメダルを獲得した日本のエースは自慢のラリー力に攻撃的スタイルを加え、シングルスと混合ダブルスに挑む。
 小松選手は初めてカヌーに乗って数カ月にしかならないが、瞬く間にレベルを高めて代表権を獲得した。バレーボールで培った能力を新たな競技につなげる。
 3選手ともメダルが期待できるようだ。さまざまな制約と向き合いながら準備を進めてきたことだろう。活躍を楽しみにしている。
 共生社会づくりやバリアフリー化の促進へ認識を深めたい。コロナ禍で交流事業などは減ったが、パラはその機会となる。
 障害者スポーツを見たことがある人は、ない人よりも障害のある人に対して肯定的なイメージを持つと、日本福祉大の藤田紀昭教授がきのうの本紙で指摘していた。そのための一歩としたい。

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