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2021.07.22 08:00

【熱中症】「災害」と捉えた対策を

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四国地方が梅雨明けし、学校も夏休みに入った。夏本番である。
 熱中症への警戒が怠れない時季を迎えた。昨夏に続き、マスクを着けた生活を余儀なくされており、新型コロナウイルス感染症と両にらみの対策が求められる。気象情報などを活用しながら、体調管理に十分留意した生活を心掛けたい。
 地球温暖化の影響もあってか、近年は全国的に熱中症による救急搬送や死者が高止まりの傾向にある。昨夏は全国で6万5千人近くが搬送され、2018年、19年に続き過去3番目に多かった。
 死者数も18年から連続して千人を超え、暑さに慣れているはずの本県でも毎年死者が出ている。もはや夏の暑さを「災害」と捉えた対策が欠かせない。
 今シーズンも県内で既に、意識を失って運ばれるケースが発生している。例年、まだ暑さに体が慣れていない梅雨明けから搬送が急増する傾向が見られる。警戒レベルを引き上げる必要がある。
 やっかいなのは発熱や頭痛、だるさといった症状が新型コロナウイルス感染症や風邪と似通っている点だろう。専門家でも初見では判断が付きにくいという。
 県内では「第4波」が尾を引き、都市部は「第5波」が押し寄せている。長引くコロナ禍は医療従事者に大きな負担をかけ続けている。熱中症の予防は自らの健康だけでなく、「命のとりで」である医療現場を守ることにもつながる。
 ただ、コロナ禍の生活様式は熱中症予防の面からはリスクになる部分もある。例えば「マスク熱中症」という言葉もあるぐらいだ。マスク内の温度が吐く息で高くなったり、湿気でのどの渇きを感じにくくなったりする。
 厚生労働省などは屋外で人と一定の距離が保てるならマスクを外すよう促している。エチケット上、人の目が気になるかもしれないが、体調の変化は自分にしか分からない。決して無理をしないことだろう。
 不要不急の外出を控える「巣ごもり」も有効な感染対策になるが、屋内こそ油断は禁物だ。
 統計をみると、若年層では屋外での活動で発生しがちで、65歳以上は屋内で発生するケースが多い。エアコンや扇風機を適切に使用するとともに、脱水症状に陥らないよう、水分とミネラルを小まめに補給する習慣をつけたい。
 長期のコロナ禍で自粛疲れを感じている人も多い。こうした熱中症対策がストレスにならないよう、気象条件や生活の場面ごとにめりはりを付けることも大切だろう。
 環境省と気象庁は4月から「熱中症警戒アラート」を全国で運用している。湿度や気温などを取り入れた指数を基に、都道府県単位で対策を呼びかける。科学の目を活用すれば、その場の状況によってどちらの対策により重きを置くべきか、判断しやすくなるのではないか。
 情報へのアンテナを高くして、暑さのピークを乗り越えたい。

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