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2021.06.21 08:38

小惑星りゅうぐうの石、高知チームが分析着手「一丸で生命の起源に迫る」兵庫の施設

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エックス線を照射する装置の前に立つ、高知チーム代表の伊藤元雄さん(兵庫県の「スプリング8」)

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の探査機はやぶさ2が持ち帰った小惑星りゅうぐうの石の本格的な分析が20日、兵庫県佐用町の大型放射光施設「スプリング8」で始まった。研究チームの代表を務める、海洋研究開発機構・高知コア研究所(南国市)の伊藤元雄主任研究員(51)は「チーム一丸となり、地球の生命の起源に迫っていきたい」と意気込んだ。

 カプセルは昨年12月に開封され、砂や石などの試料5・4グラムが確認された。今月17日から国内の大学や研究機関の8チームに順次引き渡され、地球にある水や有機物が小惑星からもたらされた可能性などを探っていく。

 スプリング8は、電子を光とほぼ同じ速度まで加速し、磁石によって進行方向を曲げた時に発生する電磁波「放射光」を利用して実験や分析する世界トップクラスの性能を持つ施設。初代はやぶさが持ち帰った砂の分析にも使われた。

 チーム代表の伊藤さんは極小物質を分析するエキスパート。米航空宇宙局(NASA)の研究機関での勤務経験もあり、初代はやぶさの試料分析にも関わった。高知コア研究所の富岡尚敬主任研究員(51)を含む約20人のチームをまとめる。土山明・立命大教授が統括する。

窒素が充満したケースの中に入った小惑星りゅうぐうの石(矢印)

 試料の石は8個、計60ミリグラム。20日から72時間連続で設備を駆使して分析する。石が空気に触れて変質しないよう、窒素で満たしたチューブに入れて、コンピューター断層撮影(CT)を行い、1個当たり1800~3600枚の画像を撮影。その後、エックス線を当てた時の光の広がり方で、鉱物の種類などを特定しながら立体画像を作成する。これを基に分析する石を2、3個選び、エネルギーの強いエックス線でさらに細かく内部を分析し、水や有機物の有無を探っていく。

 伊藤研究員は「はやぶさが帰還し半年、全員がこの日を待っていた」と感無量の表情。高知チームのメンバーは同じ黒のTシャツでそろえており、「チームは誰一人欠けてはならない。目標を達成するピースを埋めるような形で貢献したい」と力強く語った。

 試料の一部は後日、高知コア研究所に持ち込まれ、伊藤研究員らがさらに分析を進めるという。(村瀬佐保)

高知のニュース 南国市

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