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2021.05.14 08:00

【宮本選手 五輪へ】高知の子どもの夢広がる

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 土佐女子高校出身の宮本葉月選手(近大)が、東京五輪飛び込みの女子シンクロ板飛び込み代表メンバーに選ばれた。
 高知県出身者が東京五輪の代表権を獲得したのは初めてだ。おめでとう。県民と共に快挙を喜びたい。
 宮本選手は榎本遼香選手(栃木DC)とのペアで選出された。
 県勢の五輪選手は、2012年ロンドン大会近代五種女子代表の山中詩乃選手(自衛隊体育学校=山田高出)以来2大会ぶりとなる。
 さらに飛び込みでは、1968年メキシコ大会までさかのぼる。64年東京大会とともに男子高飛び込み代表だった有光洋右さん以来だ。
 宮本選手を小学生時代から知る有光さんは、「本当にうれしい」とコメントした。その言葉はみんなの思いと重なっている。
 宮本・榎本組は2018年秋にペアを組んだ。初めて臨んだ19年の日本室内選手権で優勝したほか、昨年の日本選手権は自己ベストで制するなど実績を積み上げている。
 しかし、19年夏の世界選手権は緊張で実力を発揮できず惨敗し、そこでの五輪出場権獲得はかなわなかった。この挫折から2人の関係がぎくしゃくする局面もあったようだ。それでも話し合いを重ねて信頼を取り戻し、課題を克服しながら自慢の同調性に磨きをかけてきたという。
 しかし追い打ちを掛けるように、昨年は五輪が延期され、代表選考も先延ばしされてきた。今月ようやく開かれた東京五輪最終予選とテスト大会を兼ねたワールドカップ(W杯)で好成績を残し、今回の選出につながった。
 もっとも、この大会にしても新型コロナウイルス対策を巡り、来日する選手や関係者の防疫措置などで混乱し、開幕は2週間ほど遅れた。一時は中止も取り沙汰された。
 先行きが不透明な中で、体調と高いモチベーションを維持するのは相当の厳しさだろう。全ての選手に共通する逆境だったとはいえ、この環境でも力を発揮したという自信は、本番でも役立つはずだ。
 東京五輪を巡っては、新型コロナの感染拡大で開催に懐疑的な世論も出ている。課題が多いことは間違いなく、競技者としては集中しにくい環境ではあるだろう。そうではあっても、選出されたからには万全の状態へ調整していくしかない。大会での活躍を楽しみにしている。
 宮本選手の飛躍は、さかのぼれば02年高知国体に行き当たる。大会を機に高知スイミングクラブ(SC)の飛び込み強化が始まった。コーチの瓶子(へいし)勇治郎さん、笑里佳さん夫妻の指導で、多くの選手が全国へ羽ばたいている。
 関係者が地道に取り組み、練習場や設備を整備して、「飛び込み文化」というレガシー(遺産)が築き上げられたように思える。
 そこで育った選手が五輪代表となったことは、後輩の目標となるにとどまらない。子どもたちの夢が広がる。高知のスポーツ界への大きな刺激であり、底上げへとつなげたい。

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