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2021.04.02 08:00

【まん延防止適用】実効性を高めなければ

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 新型コロナウイルス緊急事態宣言に準じた「まん延防止等重点措置」が宮城、大阪、兵庫の3府県に初めて適用される。
 5日から5月5日までの1カ月間で、対象は仙台、大阪、神戸など6市。飲食店の営業時間短縮やイベントの入場制限などを行う。
 緊急事態宣言が首都圏で解除されてから10日余り、関西圏は約1カ月となり、懸念されていたリバウンド(再拡大)が現実のものとなってきた。「第4波」を本格化させないために、重点措置の実効性をいかに高めるかが問われる。
 まん延防止等重点措置は、緊急事態宣言に至る前に感染を封じ込めるのが目的だ。国が定めた「ステージ3」(感染急増)相当が要件となっている。政府が対象の都道府県と期間を決め、知事は市区町村や繁華街などに区域を絞って時短などを要請。違反すれば20万円以下の過料が科される。
 しかし、既に2度にわたる緊急事態宣言を経験。外出自粛や営業時間の短縮など不自由を強いられてきた。重点措置は地域や業態を絞って機動的に適用されるとはいえ、取り組みの中身は緊急事態宣言とあまり変わらない。
 「自粛疲れ」「宣言慣れ」のムードも広がる中、効果を上げるには国民の一層の協力が不可欠だ。ところが感染対策を率先して進めるべき厚生労働省の職員多数が、東京・銀座の飲食店で深夜まで会食していた。国民に「いま一度我慢を」と呼び掛けても説得力はない。
 政府はこれまでもPCR検査などで、十分な体制を築いてこられなかった。ワクチン接種も国際的に見ると遅れている。政治家や官僚による不適切な会食もなくならない。数々の後手の対応や緩みを猛省しなければならない。
 時短要請に応じてもらうには、相応の補償が要る。政府は事業者への協力金について、事業規模に即した内容に変える方針だ。補償の在り方への不満は根強いだけに、現場の実情に即した細やかな対応が求められよう。
 まん延防止等重点措置は緊急事態宣言と比べて、国民の権利を制限する度合いは大きく変わらない。にもかかわらず宣言と異なり、国会への報告は義務付けられていない。行き過ぎた私権制限にならないか、目配りも必要だ。
 感染力が強いとされるコロナウイルスの変異株も拡大している。重点措置の適用が今後、都市部から地方へさらに広がることも十分あり得るだろう。
 高知県では現在、感染状況は落ち着いている。高齢者へのワクチン接種も早い自治体では今月中旬にも始まる見込みだ。ただしリバウンドが起きれば医療従事者が対応に追われ、接種に支障を生じかねない。
 県民同士でいま一度、「3密」の回避や「マスク会食」など予防対策を心掛けたい。慣れや緩みに陥らない一人一人の行動が大切なのは、これからも変わらない。

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