光みつけた第1部 アルコール依存当事者(1)僕も､不安定

カット・山本おさむ　すらりとした体形に日焼けした肌。趣味はマラソンと山登り。高知市内の不動産店で働くヤスヨシさん（５５）は、高知龍馬マラソンを走ったこともあるスポーツマンだ。　店での仕事は、障がいや経...

光みつけた第1部 アルコール依存当事者(2)飲める人間が偉い

カット・山本おさむ　タコの刺し身。ヤスヨシさん（５５）の物心ついたころの記憶だ。　　一緒に暮らす祖父の晩酌のあては、必ずタコの刺し身だった。上機嫌でタコをつまみ、酒を飲む祖父の顔を興味深く見ていたのだ...

光みつけた第1部 アルコール依存当事者(3)息するように､うそ

カット・山本おさむ　ヤスヨシさん（５５）は社内外で一目置かれる存在だった。周囲に持ち上げられる快感に酔いしれ、ますます仕事に打ち込み、ますます飲み歩いた。　結婚話が出てきたのは、３０歳を前にしたころの...

光みつけた第1部 アルコール依存当事者(4)このままじゃ､死ぬ

カット・山本おさむ　夕方、自宅で飲んでいると「やまった」と妻の声。見ると破水していた。妻は「明日も忙しいがやき。飲み過ぎたらいかんで」と言い残し、タクシーで１人病院に向かった。　ヤスヨシさん（５５）は...

光みつけた第1部 アルコール依存当事者(5)娘との１日

カット・山本おさむ　依存症専門病院に入院する際、ヤスヨシさん（５５）は病院の相談員に院内ミーティングと断酒会への参加を勧められた。酒の失敗や、苦しんだ体験を話す場だと説明された。　　ミーティングで、ヤ...

光みつけた第1部 アルコール依存当事者(6)待ち受け画面の笑顔

カット・山本おさむ　リーマン・ショック後の大不況が続く２００９年２月、退院目前のヤスヨシさん（５５）は会社に解雇された。　「俺にはなんちゃあなくなった」。自暴自棄になりそうな心をつなぎ留めたのは、病院...

光みつけた第2部 アルコール依存者の家族(1)許すことはできても

カット・山本おさむ　連載第２部は、アルコール依存症の夫と共に歩む妻に話を聞く。　「２人で一人前。お互い年を取って、体もよう動かんしね」　高知県中部の山あい。日当たりの良いリビングで、良子さんが朗らかに...

光みつけた第2部 アルコール依存者の家族(2)次はきっと大丈夫

カット・山本おさむ　「冬ならクリスマス、お正月。春はひな祭り。四季折々のイベントを、子どもたちはうきうき待ってる。なのに私はちっとも面白くない。いらいらして子どもたちに八つ当たりして…」　良子さんは、...

光みつけた第2部 アルコール依存者の家族(3)いっそ交通事故で…

カット・山本おさむ　酒を飲みに出た夫が“消える”のは年４、５回。だが、その期間は次第に長くなった。　どこで飲み歩いていたのか、どこで寝ていたのか。今も良子さんは知らない。夫も語ることはない。　数日たっ...

光みつけた第2部 アルコール依存者の家族(4)３つの｢あ｣教わり

カット・山本おさむ　「この人は仕事が大好き。断酒会を選ぶことは分かってました。理解ある職場のおかげで今、笑える」と良子さん。　断酒会には、夫婦で参加することが大切と言われた。２００１年２月２７日、夫と...