2025.05.08 08:55
「一筆書きでは巡れません」アンパンマンミュージアムの裏話

設計の裏側を語る古谷誠章さん。「やなせ先生はすごく喜んで、ミュージアムマンっていうキャラクターも作ってくれました」(高知市桟橋通2丁目の高知工業高校)
古谷さんは1996年に完成したアンパンマンミュージアムのほか、宿毛市の「林邸」の改修を手がけるなど、全国各地で活動。講演では手がけた建物を写真で示し、建築の魅力や可能性を語った。
同ミュージアムは、やなせたかしさんから「子ども、大人、お年寄りが楽しめる美術館にしたい。箱をつくってほしい」と依頼されたと振り返り、中身は「やなせ先生がつくり上げていった」。開館すると、想像以上に子どもが多く訪れ、詩とメルヘン絵本館を増築することになったという。
ミュージアムの特徴は「順路がないこと」。探検気分を味わうとともに、引き返したり、あちこち回ったりすることで人と人が出会う機会が増えるよう、あえて一筆書きでは巡れない設計にしたという。「行ったつもりだけど、行き残したところが出てくる。自分の好きなように回って楽しんでほしい」と話した。
また、大階段の上に座ると美良布の町が見えるようにするなど、「周辺の環境との調和を重視している」。今春までに行った改修では、外壁に物部の山々が映り込むようにアルミニウムの板を使ったそうで、「建築の周りにある環境を上手に身にまとうことで、建築が快適で楽しいものになる」と語った。
講演は同高の開校記念行事で、生徒や教職員約900人が聴講した。(石丸静香)




















