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2024.05.27 08:00

【エネルギー計画】原発依存は許されない

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 経済産業省がエネルギー政策の中長期的な指針「エネルギー基本計画」の改定論議に入った。
 2024年度内に取りまとめ、新計画として閣議決定する。電力の安定供給や地球温暖化対策(脱炭素)にどんな方向性を示すのか、注目される。
 日本の電源はいま、原発の再稼働が進まず、火力発電、特に石炭火力発電に依存している面がある。しかし、地球温暖化をもたらす二酸化炭素排出量が多く、海外からの批判が強い。
 一方で、東京電力福島第1原発事故の教訓から、国民の多くは脱原発を望んでいる。これらを解決するためには再生可能エネルギーのさらなる拡大策が望まれる。
 ところが、岸田文雄首相は原発の推進姿勢を鮮明にしている。日本が地震列島である現実を考えれば、あまりにリスクが高い。新計画を安易な原発回帰や原発依存の指針にしてはなるまい。
 基本計画はおおむね3年ごとに見直されている。現行の計画は岸田政権が発足した21年10月に閣議決定された。
 ただ、内容的には菅義偉前政権下で論議されてきたもので、岸田政権としての取りまとめは、実質的に今回が初めてといってよい。
 原発事故の後、エネルギー政策は大きく変わった。旧民主党政権は国民の声を受け、「30年代の原発稼働ゼロ」方針を打ち出した。
 しかし、政権交代で第2次安倍晋三政権が発足すると方向転換。政府は14年に原発を「重要なベースロード電源」とする新たなエネルギー基本計画を策定した。
 その後、30年度の原発の電源構成比率目標を「20~22%」に設定。17年と21年策定の基本計画にも引き継がれた。併せて「原発依存度を可能な限り低減する」ともしてきた。
 二枚舌に映るが、多くの国民の意向は踏まえていた。ところが、岸田首相はそれも転換する。
 22年、エネルギー安定供給と脱炭素の実現に向け、原発の「最大限の活用」を表明。骨太方針では、前年は記載していた文言「可能な限りの依存度の低減」を消した。
 さらに原発の新増設や建て替えを検討する方針を表明。事故後に導入された原発運転の「原則40年、最長60年」規定も見直し、60年超を可能にした。
 次の基本計画もこうした方向性が反映される可能性が高い。
 政府は、50年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする目標を宣言している。先進7カ国(G7)は先月、対策が施されていない石炭火力発電を35年までに段階的に廃止することでも合意した。
 国際社会の一員として、こうした約束は果たさなければならない。しかし、その方策が原発推進というのは過酷な事故を経験した国が取るべき方向だろうか。
 将来世代にも関わる問題だ。政府や国会には国民の思いを受け止め、丁寧な論議や説明を求める。

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