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高知新聞PLUSの活用法

2024.05.22 05:00

小社会 つい呼びかける

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 宿毛市で震度6弱を観測した地震から1カ月余り。復旧が進むさまに安堵(あんど)しつつ、報じる側のもどかしさも感じている。

 あの夜。ついに来た、と身構えた人も多かったろう。78年前の昭和南海地震では県内で679人の死者・不明者が出た。ただ、その震度は公式には「5」。今回の方が揺れたことになる。

 前回は体感で震度を決め、今は震度計で測定する。その経緯に目が向きがちだが、昭和南海を経験した宿毛のお年寄りは「今回の方がずっと怖かった」と証言する。高知地方気象台も、体感と震度計にそう違いはないとし、今回の方が揺れたとの見立てだ。

 だから気になる。「次」で想定される最大震度7を「宿毛より少し揺れる程度」などとはゆめゆめ思わないでおきたい。局地的だった今回とは仕組みが異なり、揺れの強さも規模も桁違い。そして大津波がやってくる。

 専門家は今回の地震は収束しつつあるとみる。かといって「次」の懸念は消えないし、今回の震源を含む海域に限っても「30年で40%」の確率で再び大地震が起きるという。

 地震を語る際は条件と数字がついて回り、すぱっと言い切れない。いきおい、報道では「いずれ100%起きる」という修辞を用いがちで、最後に「備えよう」と、つい呼びかけてしまう。毎度、説教くさくていけない。それでも、13年前に東北でおびただしい死に接してから、これよりしっくりくる言い回しに出合えないでいる。

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