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2024.04.21 05:00

小社会 朝夕2部制

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 作詞家の故阿久悠さんは高校野球を愛した。昭和50年代以降、夏の甲子園を観戦して一日一詩を残した著書「甲子園の詩(うた)」。その序文に、大会期間は「そのために早起きし、9時間から10時間、テレビの前から動かない」とある。

 なぜ、そこまでひかれるのか。阿久さんは〈♪つかれを知らない子供のように〉と歌う小椋佳さんの曲の一節を引いてこう書く。「今の子供はつかれきっており、ただ一つ、つかれていないものに心を熱くするのだろう」

 50年近く前の一文だが、球児のひたむきな気持ちは今も変わりあるまい。ただし、夏の暑さは違う。気象庁によると、昨年6月から8月の平均気温は明治の統計開始から125年で最高。35度以上の猛暑日も珍しくなくなった。

 日本高野連が今夏の甲子園で、朝夕「2部制」を導入する。暑さがピークになる昼過ぎは試合を避ける。まずは試験的に3日間。決めた時間がくれば試合を中断し、翌日以降に再開する点などは課題もありそうだが。

 近年のスター選手は好意的に反応する。金足農高で活躍したオリックスの吉田輝星投手は「汗がすごかった。リスクが減るのはいいこと」。前橋育英高で優勝した西武の高橋光成投手も「異常な暑さ。対策は本当に大事」。やはり、疲れを知らない子供ではなかったようだ。

 球児を守る試行錯誤は続く。テレビ観戦の中座を余儀なくされる天国の阿久さんもうなずいているだろうか。

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