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2024.04.15 08:00

小社会 勝負ごと

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 作家の故安部譲二さんは、若い頃はギャンブルに夢中だったという。50代後半で「人生の半分以上の歳月を、いわゆる賭事に浸って過ごしてしまった」と振り返っている(「日本の名随筆 賭事」)。

 その経験から、負け癖がつき、負けるのに慣れてしまった人は「もう再起不能」とする。やめる判断ができなくなり、泥沼にはまるといいたいのだろう。

 同じく作家の北杜夫さんは生前、マカオのカジノで「スッテンテンになった」(随筆「マンボウおもちゃ箱」)。初日のビギナーズラックに気をよくし、翌日も大金を投入したらしい。

 世の中はそんなギャンブルの教訓にあふれているのに、射幸心や依存症というのは恐ろしい。しかも違法賭博に他人のお金を24億円超も使うとは。米大リーグ、ドジャースの大谷翔平選手の元通訳、水原一平容疑者だ。

 一時は、愚直に野球に精進する大谷選手にさえ疑念を向ける人がいた。検察が「大谷選手は被害者だ」と強調し、安堵(あんど)したファンも多かったのでは。水原容疑者も裁判所で大谷選手らに謝罪したい旨を表明したという。

 安部さんは刑務所生活後に作家に本格転身。ギャンブルはそこそこになり、文筆で「連日、勝負に身を焦がしている」とつづった。大谷選手の場合は、はなから球場での真剣勝負以外に余念はあるまい。早く騒動から解放され、存分にプレーしてほしい。期待したいのはもちろん「大当たり」だ。

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