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2024.04.04 08:00

小社会 さげすむ暴言

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 失言が多かった戦後政治家の一人に必ず挙がるのが、自民党の渡辺美智雄元副総理だろう。主に1980年代。庶民派と呼ばれた一方で、放言の類いは枚挙にいとまがない。

 いわく〈野党は財源も考えないでうまい話ばかりする。毛針で釣られる魚(人)は知能指数が高くない〉。〈米国では黒人とかいろいろいて、破産してクレジットカードが使えなくなってもあっけらかん〉。後者はさすがに外交問題になった。

 失言イメージもあってか渡辺氏は党総裁、首相にはなれなかった。本人は「国民に分かりやすさを」との思いがあったと述懐したとか。だが、作家の保阪正康さんは著書「戦後政治家暴言録」でこう評する。「国民を侮って、そして国民に軽蔑されるという宿命を背負っていたように思う」

 国民を侮るかのような政治家の暴言が今また目立つ。自民党の裏金事件。次期衆院選への不出馬会見で、年齢との関係を聞かれた二階俊博元幹事長は「おまえもその年がくるんだよ。ばかやろう」。記者の向こうには国民がいる、とよく言われるが。

 静岡県の川勝平太知事は県の新人職員に「野菜を売ったり…ものをつくったりとかと違い、皆さまは頭脳、知性の高い人たち」。どうにも人々をさげすむ視線がある。職を去るのも仕方あるまい。

 カネへの感覚、他者への敬意が庶民感覚とかけ離れた政治が迷走する。つくづく選ぶ側の眼力が問われる時代を思う。

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