2024年 06月19日(水)

現在
6時間後

こんにちはゲスト様

高知新聞PLUSの活用法
県体写真

2024.03.17 08:00

【同性婚訴訟】国会は急ぎ議論を深めよ

SHARE

 多様な家族観への理解が着実に広がり、司法の目も厳しさを増している。これ以上、当事者の不利益を放置することは許されまい。国会は早急に具体的な形で議論を深める必要がある。
 同性同士の結婚を認めない民法と戸籍法の規定が憲法違反かどうかが争われた訴訟の控訴審判決で、札幌高裁はほぼ全面的な違憲判断を示した。婚姻の自由を定めた憲法24条1項についても、初めて「異性間の場合と同じ程度に保障している」と踏み込んだ。
 同種の訴訟は2019年から各地で6件起こされ、違憲2件、違憲状態3件、合憲1件と地裁判決は出そろった。いずれも、個人の尊厳や両性の本質的な平等に基づく家族関係の立法を定めた憲法24条2項や、法の下の平等を定めた憲法14条の解釈などが焦点になってきた。
 「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立する」などとする憲法24条1項は、原告側にとってハードルになっていたといえよう。「両性」は男女を示すとして、国側が同性婚を認めない有力な根拠としたからだ。
 地裁段階では、憲法の制定時に同性婚が想定されていなかったことに加え、「両性」「夫婦」との文言から現状が違反するとはいえないとの判断が続いていた。
 一連の訴訟で初となる控訴審判決は国側の主張に切り込んだ。まず、結婚は当事者間の「自由かつ平等な意思決定」に委ねられるべきだと指摘。同項の趣旨を「人と人との間の自由な結びつきとしての婚姻を定めている」とし、条文の文言にとらわれる理由はないと判断した。
 同2項や14条についても、同性婚やこれに代わる措置がない現状は合理性を欠き、立法府の裁量を超えるなどとして違憲とした。これまでの判決に比べても、当事者に寄り添う姿勢が鮮明だった。
 背景には性的少数者が置かれた厳しい状況がある。同性カップルは法律婚ができないことで、パートナーの法定相続人になれなかったり、所得税の配偶者控除も受けられなかったり、さまざまな不利益を受ける。判決はこうした社会生活上の問題とともに、アイデンティティーや人格が損なわれる状況にも強い危機感を示した。
 一方、同性婚に対する違和感や嫌悪感は「感覚的、感情的理由にとどまる」と指摘。同性婚の法制度が定められても弊害はないと早期の法整備を迫った。
 しかし、国会の動きは鈍い。ことし1月時点で米国や台湾など36の国・地域で同性婚が容認され、国内では400近い自治体が同性カップルを公的に認定するパートナーシップ制度を導入した。昨年5月に行われた共同通信社の世論調査でも7割を超える人が同性婚を「認める方がよい」と回答している。
 こうした流れとは裏腹に、国会はいまなお具体的な検討すら行っていない。これでは立法の不作為と批判されてもやむを得ないだろう。迅速な対応が求められる。

高知のニュース 社説

注目の記事

アクセスランキング

  • 24時間

  • 1週間

  • 1ヶ月