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2024.02.22 08:00

【H3発射成功】不安払拭した意義大きい

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 日本の今後の宇宙戦略の中心的な存在となるロケットが、実用化へようやく一歩を踏み出した。国産新型ロケット「H3」2号機の打ち上げに、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が成功した。
 H3は、昨年3月の1号機打ち上げに失敗。JAXAはその半年前、小型ロケット「イプシロン」の新型機打ち上げにも失敗しており、日本の宇宙開発技術に対する信頼は揺らいでいた。難産になったが、今回の成功でそうした不安を一つ取り払えた意義は大きい。反転攻勢に向けた転機としたい。
 通信衛星の増加や安全保障の観点から、世界的に衛星の打ち上げ需要は拡大している。その中でH3は、日本が衛星打ち上げビジネスに本格参入し、受注を獲得するための基幹ロケットに位置づけられる。
 JAXAと三菱重工業などが2014年から開発に着手。国際競争力をつけるため、現在主力のH2Aより運搬能力を増強する一方、民生部品を使うなどして打ち上げ費用を半分の50億円にする目標を掲げ、開発費2200億円を投じてきた。
 しかし開発は難航してきた。エンジン燃焼試験のトラブルで設計変更を求められるなど工程はずれ込んだ。2年遅れでこぎつけた昨年の1号機打ち上げでは、新たに開発した1段目のエンジンは作動したが、H2Aと共通部分も多い2段目エンジンが点火せず、目標軌道には投入できないため指令破壊された。
 失敗の原因は特定に至らなかったが、疑われる部分を絞り込み、点火装置の点検を強化するなどして対応した。失敗から1年を待たずに再挑戦して成功させたのは関係者の努力のたまものだろう。宇宙開発は失敗と挑戦の繰り返しとされる。重圧に耐え、失敗を乗り越えた結果は、ほかの技術者や宇宙ファンたちの励みになるに違いない。
 もっとも、もろ手を挙げて喜べるわけではない。まだ国際競争の舞台に立ったにすぎないからだ。
 現在の衛星打ち上げ市場は、米スペースX社が半分近いシェアを占めるなど1強状態にある。追随する中国勢も含めて、価格競争は激しさを増している。
 一方で開発が遅れたH3は、当初は2号機で予定した「低コスト版」の打ち上げ計画もまだ立っていない。コスト抑制の取り組みはこれからで、米中などから引き離されているのが実情だ。
 ただ、世界的にロケット不足の状態は続いており、H3が存在感を発揮する余地はあるという。
 現在のH2Aは打ち上げ成功率が約98%と世界トップクラスを誇る。H3が受注を獲得するには、成功実績を積み重ねて国産ロケットへの信頼性を引き継いでいくとともに、着実に低コスト化を実現していくことが欠かせない。
 政府は宇宙産業の成長力に期待し、23年度補正予算案で「宇宙戦略基金」を創設。10年間で最大1兆円規模の支援を見込む。政府の取り組み姿勢も問われてくる。

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