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2024.02.17 08:00

【ガザの危機拡大】南部への地上侵攻やめよ

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 すでに多大な犠牲が出て、街も廃虚と化している。これ以上、民間人の被害を拡大させることがあってはならない。報復の連鎖を早期に断ち切ることが求められる。
 パレスチナ自治区ガザで人道危機がさらに深まりかねない情勢を迎えた。イスラエル軍が最南部ラファへ地上侵攻する構えを見せている。米国などをはじめとする国際社会が圧力を強め、難航する停戦協議を後押しする必要がある。
 事態は切迫の度を増している。ガザを実効支配してきたイスラム組織ハマスによる奇襲攻撃から、イスラエル軍との戦闘が始まって4カ月。ガザに住む民間人の犠牲者は増え続け、ガザ側の死者は2万8千人を超えた。
 イスラエル軍は当初、住民に対して南部に避難するよう呼びかけながら、空爆とともに北部から地上作戦を展開してきた。ネタニヤフ首相はここにきて「ラファはハマスの最後のとりで」と強調し、地上侵攻への準備を進めている。
 ラファには北部などからの避難者が大挙して押し寄せ、狭い範囲に約150万人が密集しているとされる。すでに逃げ場を失った状況といっていい。そこを地上軍が攻撃すれば、ハマスの戦闘員のみならず、民間犠牲者の急増は避けられまい。
 憂慮すべき事態の回避に向けた動きはある。各国が民間人の犠牲を拡大させるイスラエル軍の「過剰な」攻撃を非難。南アフリカが国際司法裁判所(ICJ)に提訴し、イスラエルに対してジェノサイド(民族大虐殺)を防ぐ「あらゆる措置」を取るよう命じる仮処分を出した。さらに南アフリカはラファ侵攻についても、ICJに攻撃停止の仮処分を要請している。
 これまでイスラエルを擁護してきた米国バイデン政権の姿勢にも変化が見える。
 避難民の安全を確保する確かな計画がなければラファ侵攻を「進めるべきではない」とイスラエルをけん制。カタールやエジプトといった近隣国とともに、「少なくとも6週間」の戦闘停止や人質の解放に向けた交渉の仲介役を担う。
 ただ、休戦案の協議は難航しているもようだ。国際社会からの圧力が強まっているにもかかわらず、イスラエルは強硬な姿勢を崩していない。奇襲でハマスに拘束された人質は今も100人以上に上り、奪還は最優先課題だろう。報復を支持する国内世論も根強いようだ。政権基盤が弱いネタニヤフ政権もこうした声を意識せざるを得まい。
 しかし、罪のない民間人の被害がこれ以上拡大すれば、国際社会でイスラエルの軍事活動をジェノサイドと見なす動きは一層広がるだろう。ラファ侵攻は越えてはならない一線にほかならない。
 国際社会の声をよそにラファ侵攻に踏み切れば、イスラエルの孤立を招き、将来に大きな禍根を残すことになる。交渉を通じて停戦を実現した上で、冷静に人質の解放を探るべき時だ。

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