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2024.02.16 08:00

【県当初予算案】人口減対策 活路見いだせ

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 危機こそ改革の好機という。「出生数が全国最少」という事実は衝撃的だったが、それによって生じた危機感が取り組みに反映されれば、局面打開の活路も見えてくるかもしれない。今の高知県政にはそのような反発力が求められる。
 県が2024年度当初予算案を発表した。一般会計は4655億円で前年度比2・7%減となったが、新型コロナウイルス関連費を除くと、浜田県政が19年に発足して以来続いている「積極型予算」を維持した。中山間対策を含めた人口減少対策を抜本強化したのが特徴だ。
 人口減少はもはや、言わずもがなの最大課題だ。22年の出生数は3721人で、過去最少かつ全国最少だった。23年は3千人台前半にまで落ち込む。将来の県勢を維持していく上で危機的な水準にあるといってよい。
 人口減少の一因には、若い女性の流出対策などで行政の後手も指摘された。それだけに、浜田省司知事は「対策のギアチェンジ」を掲げ、その抜本指針として「元気な未来創造戦略」も策定。予算編成で最重要ポイントとしていた。
 新年度予算案では、4年間で最大40億円に上る市町村への総合交付金を目玉に位置付け、「共働き・共育て」推進など多様なメニューが並んだ。その施策群や予算額からは県の危機感をうかがうことができる。
 ただ、総合交付金も含めて施策の多くは市町村や民間が主体であり、県が直接、事業主体になるわけではない。市町村との協調、官民連携が機能しなければ成果は限られる。伴走的な動きが重要になる。
 若者定着にはどの県も力を入れている。本県がてこ入れしても競争のスタート地点に立ったにすぎない、あるいは他県にあって本県にない補助事業などもある。「未来創造戦略」では27年へ野心的とも言える目標を掲げた。実現へ、取り組みの継続的な検討と検証が欠かせない。
 予算案は人口減少対策を前面に出す一方、県勢浮揚への3本柱としてきた「デジタル化」「グリーン化」「グローバル化」の視点も引き続き強化。他の分野もそれぞれの取り組みをステップアップさせた。
 ただ、浜田県政のこれまでの成果という点では県民が実感できるものは限られるのではないか。「らんまん」絡みの観光振興策や台湾チャーター便の就航、アンテナショップ開設が決まった肝いりの関西戦略などが挙がるが、知事の掲げる「共感と前進の好循環」はこれからだろう。取り組みの発信も求められる。
 新年度予算案では2期目にして浜田カラーが強まった印象も受ける。尾﨑前県政から続いていた「五つの基本政策」の枠組みを再編して予算編成した。また、県政の司令塔機能も強化するとして「総合企画部」を新設する機構改革も決めた。
 縦割りに陥りがちな施策に横串を刺し、連動させ、機動力や実効性を高める狙いがみてとれるが、調整がうまくいかなければ逆効果だ。庁内の風通しがよいことが前提となる。

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