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2024.02.12 08:00

【離婚後の親権】子どもの利益を第一に

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 離婚後の子どもの養育に関する制度が大きく変わろうとしている。
 離婚後の親権について、父母いずれか一方のみと定めている現行の民法を改め、共同親権も選べるようにする見直し案を、法制審議会(法相の諮問機関)の部会がまとめた。政府は今国会に民法改正案などを提出する方針だ。
 だが、共同親権導入に伴う懸念は残る。見直しが決まれば、離婚後の家族の在り方を巡る転換点となる。法案審議では、子どもの利益や幸せを第一に議論を尽くし、懸念材料を着実に払拭していく必要がある。
 親権とは、養育や財産管理など未成年の子に対する包括的な権利であり、親権者はそれらの義務も負う。民法は離婚後は単独親権のみと定めているが、欧米では、両親が養育に責任を持つことが望ましいなどの理由から、共同親権を採用するケースが多いという。 
 見直し案では、離婚の際に父母が協議して単独親権か共同親権かを選び、合意できない時は家裁が判断する、とした。ドメスティックバイオレンス(DV)や虐待の恐れがある場合は単独親権と定める。
 両親の関係が離婚後も良好であるのなら、共同親権の方が子どもの利益につながる可能性は高いだろう。家族の形は多様化しており親権の在り方も柔軟に考えていくべきだ、とする主張も導入を後押しする。
 ただ離婚は、夫婦間に何か問題や対立があって、それに至ることが多いのが事実だ。共同親権制度では、進学や病気治療などの重要事項は父母が協議して決めるが、父母が対立していれば一方に拒否権があるような状態になる。合意しない期間が続く恐れもあり、そうなれば子どもは不安定な立場になる。
 見直し案では、「急迫の事情がある時」は父母の一方で決定できるともした。しかし、「急迫」の定義は定かでなく、父母の新たな対立要因にもなりかねない。
 懸念されるのは、DVや虐待の恐れがある場合だ。家裁の決定で単独親権になるとしているが、密室で行われるなど把握が難しいケースもある。DVの被害者団体などは「離婚後も加害者の支配が続きかねない」と共同親権導入に反対する。
 共同親権への根強い不安は、法制審部会の開催の経緯が物語る。3年近くの審議期間、計37回の開催はいずれも異例の長さ、多さで、それでも見直し案の採決は賛否が分かれた。それだけ慎重さが求められるテーマであるという認識で、国会審議は行われなければならない。
 論点の一つになるのが、家裁の体制だろう。共同親権を導入すれば、DVや虐待の有無なども含めた当事者家族の実態の把握、父母が対立した場合の申し立ての受理と判断など家裁の役割は重くなる。
 見直し案では、最低限の養育費の支払いを別居親に義務づける「法定養育費」なども盛り込まれ、業務量の増加は必至だ。子ども最優先の判断ができるよう、家裁の体制に配慮していく必要がある。

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