2024.02.08 08:00
小社会 別れの予感?
あの名曲「なごり雪」でも切ない場面が描かれる。動き始めた汽車に乗る「君」を見送る「僕」は、〈♪君の口びるが「さようなら」と動くことがこわくて 下をむいてた〉。分かっていても決定的な一言は聞きたくない。
曲ほど情緒的でないけれど、駅の風景と相まって、この歌詞が重なってくる現実がある。赤字ローカル鉄道の話。
人口減少などで経営が悪化するJR各社と国は昨秋、乗客の少ない路線の存廃論議を行うための新しい枠組みを設けた。四国では予土線などが対象に挙がる。ただし、沿線自治体は協議に消極的だ。JR側の口から「廃線」が出ることが怖くて、下を向いている、といってよいだろう。
その状態に対してJR四国の社長が先月末、一歩踏み込んだ。2025年度を目標にしていた「入り口の議論」を1年前倒ししたいという。自治体側の対応に、しびれを切らしたような印象を受ける。
もっとも、協議では別れ(廃線)を前提とせずに将来を考えるとする。〈♪なごり雪も 降るときを知り…〉。自治体側の対応が注目されるが、ずっと今のままでいられないということは感じていることだろう。岐路に直面している予土線は来月、開通50年の節目を迎える。