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2024.02.03 05:00

【国会代表質問】裏金の全容まず明らかに

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 通常国会で、岸田文雄首相の施政方針演説などに対する各党の代表質問が行われた。
 今国会は、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けて「裏金国会」と呼ばれ、与野党の攻防が激化している。
 国会開幕に先立ち、首相が本部長を務める自民党の政治刷新本部は党改革の中間報告を了承した。派閥から資金と人事を遮断する一方で、政策集団としての存続を容認。政策集団による政治資金パーティーを禁止するなどとした。
 しかし、裏金づくりは誰がいつから主導したのか、議員は何に使ったのかといった全容は、東京地検特捜部の捜査を経た今なお明確になっていない。刷新や再発防止を語る前にはまず全容解明があるべきで、順序への疑問が拭えない。
 野党側は衆院の代表質問で安倍派、二階派幹部らの政治倫理審査会への出席を要求。参院では、リクルート事件などの際に当事者を証人喚問した特別委員会の設置を求めた。
 これに対し、首相はいずれも「国会で判断する事柄だ」と述べるにとどめた。行政府の長という立場もあろうが、これでは「わが党は解体的な出直しを図る」と訴える決意とは裏腹に、「刷新」に真剣に向き合っているようには映らない。
 一方で、首相は衆参両院予算委員会の集中審議で各党から実態解明を求められ、党内で関係者を聴取する枠組みをつくると表明した。聴取は安倍派、二階派の議員らが対象で90人程度になるようだ。
 ただ、自民党の内部調査では世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との接点を巡る調査が記憶に新しい。結果の公表後も新たに接点を持つ議員が判明するなど、不十分な内容だった。
 身内の聴取の取りまとめを公表したとしても、実態の把握につながるかどうかは疑問が残る。党の一方的な発表ではなく、裏金に関係した議員の国会招致でなければ、国民の政治不信を拭う一歩にはなるまい。
 野党側は、議員が連帯責任を負う連座制の導入も求めた。首相は「今後、党としての考え方をまとめ、各党と議論したい」と述べたが、具体策には言及しなかった。これもスピード感を持って方向性を示さないようなら、首相が言う「刷新」「信頼回復」の本気度が疑われよう。
 国政は、能登半島地震の復旧・復興、物価高にあえぐ国民生活の不安など課題が山積する。首相は施政方針演説で、政策の推進には国民の信頼が必要で「その信頼が揺らいでいる」としたのはその通りだろう。
 近年、国会では安倍政権下の「桜を見る会」の問題をはじめ、不祥事が起きても再発防止を前面に出し、事実解明をなおざりにして早々の幕引きを図る事例が相次いできた。
 従来のように逃げやごまかしで真相の究明を長引かせ、重要課題の論議に影響することもあってはならない。与野党、特に自民党には、頂点に達した国民の政治不信を自覚して議論に臨む姿勢が求められる。

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