2024.01.12 08:00
【自民刷新本部】首相の本気度が試される
自民党は派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けて新設した政治刷新本部の初会合を開いた。再発防止策や派閥の在り方について、月内の中間取りまとめを目指すとする。
岸田文雄首相(党総裁)の直属機関とし、首相が本部長を務める。首相は国民の信頼を回復する必要性を繰り返し強調し、党の体質刷新を訴えてきた。裏金問題に毅然(きぜん)とした姿勢がとれないようでは、低迷する内閣支持率の好転は期待できない。強い危機意識で臨み、党内をまとめる必要がある。
論点として、パーティー券購入者の公開基準引き下げや、全ての手続きの銀行振り込み化、収支の監査導入などが挙げられている。政治資金の透明性拡大が求められる。制度に抜け道があれば、その不備と向き合うのは当然だ。これらはさして難しいようには思えない。
また、違反者への厳罰化を見据えた政治資金規正法改正が浮上している。連立を組む公明党や野党も必要性を指摘しているが、自民内には慎重意見が根強いとされる。どこまで踏み込むかは問題と向き合う姿勢が映し出される。それは信頼の回復と関わってくる。
派閥も重要な論点となる。政策集団として政策研究や若手を育成する派閥が本来の目的から外れ、金やポストを求める場になっていないか。首相はこうした国民の疑念を深刻に受け止める必要性に触れてきた。
刷新本部の最高顧問には、麻生派会長の麻生太郎副総裁と、無派閥の菅義偉前首相が就いた。菅氏は派閥政治の弊害に繰り返し言及し、派閥の解消が党として対応を明確にすると主張している。議論の取りまとめへ据えた2氏の見解が異なることで、意見集約は難航が想定される。首相の本気度と指導力が一段と問われることになる。
裏金事件を巡っては、政治活動に金がかかりすぎる現状を指摘する意見も目立つ。選挙応援や秘書らの人件費負担などで支出が膨らむことが背景に挙げられる。金のかからない制度はこれまでも模索されてきたが、改革は中途半端にとどまった。抜本的な対応がなければ同じことが繰り返されかねない。
改革への取り組みを強める必要がある。裏金事件の解明はそのためにも不可欠だ。
東京地検特捜部は政治資金規正法違反容疑で安倍派の池田佳隆衆院議員=自民除名=らを逮捕した。また安倍、二階両派の事務所を家宅捜索したほか、幹部らを任意で事情聴取している。通常国会召集前には会計責任者らを刑事処分する方向とみられる。
派閥側の認識も無視できない。幹部の関与や責任など実態を明らかにする必要がある。まずは議員自らが説明責任を果たすことだ。