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2023.12.26 08:00

小社会 家風

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 江戸時代、各地に割拠した藩の家風は、藩祖の性格で決まると言われた。作家の司馬遼太郎さんは半世紀前、幕府を開いた徳川家康にこの物差しを当て「覇王の家」という作品を残した。

 司馬さんの描く徳川家臣団は良く言えば忠誠心や団結力が強く、悪く言えば内向き。約260年の支配を通じてこの家風が全国に広がり、日本は「特殊な文化」を生む一方、世界の普遍性に理解が及びにくい民族性になった、とする。

 むろん、明治から大正、昭和初期にかけ、戦争へと突き進んだ流れを念頭に置いた評価なのだろう。そんな「司馬史観」には批判もあるが、歴史に一定の連続性をみるなら、興味深い視点といえる。

 2023年の年の瀬。国会が閉じても騒がしい永田町の様子に、安倍晋三元首相という政治家の歴史的な意味を考えてみるのも、意義があるのではないか。

 安全保障政策の大転換、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題に、アベノミクスに端を発した輸入物価の高騰。さまざまな政策課題が安倍政治の延長線上にあるようだ。そして「政治とカネ」も。政治資金パーティーを巡る事件との関係は不明だが、安倍氏自身にも数々の疑惑が付きまとった。

 東京地検特捜部が清和政策研究会幹部の任意聴取を始めた。「藩祖」ではないにせよ、今も安倍派と呼ばれている。「家風」に物差しを当てると、長期政権を築いた力の源泉がみえてくるかもしれない。

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