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2023.12.18 08:00

【国立大の法改正】研究の多様性を損なう

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 規模の大きな国立大に、強い権限を持つ合議体「運営方針会議」を設置する改正国立大学法人法が国会で可決、成立した。
 運営方針会議は大学の予算や経営計画といった重要な事項の決定を担う。決定通りに運営されていないと判断した場合は大学側に改善を要求できるほか、学長選考に意見を述べる権限もある。
 しかも、学外の有識者が想定されている3人以上の委員と学長で構成。人選は現行の学長選考・監察会議(同数の学内、学外メンバーで構成)と協議し、文部科学相の承認を得た上で学長が任命する。
 大学の運営に企業経営的な要素を取り入れ、大学の国際的な競争力を上げる狙いがあるようだ。しかし恣意(しい)的に運用されれば、政府が大学の人事や教育・研究にまで介入し、学問の自由や大学の自治が脅かされかねない。大学教員らの反発が強いのも当然だ。
 委員の承認では、文科省は大学側の人選を尊重する姿勢を示す。盛山正仁文科相も国会で「恣意的な運用をするつもりはない。大学の自治が脅かされるという指摘は当たらない」と答弁した。だが、日本学術会議の任命拒否問題を見れば、それも説得力を欠く。
 改正法には、運営方針会議の審議事項が教育・研究に及ばないことや、委員の承認に当たり、文科相が恣意的に拒否しないことなどを求める付帯決議が盛り込まれた。法的拘束力はないが、こうした決議を伴うこと自体、改正法の持つ危うさを物語っていよう。
 運営方針会議の創設はもともと、政府が世界最高水準の研究を行う「国際卓越研究大学」を認定するのに当たり、文科省の有識者会議で検討されてきた。
 認定の大学には巨額の支援を行う一方で、外部識者を中心にした「国民の期待に応えられるガバナンス(組織統治)」を条件とした。現状の認定候補は東北大のみだが、これを卓越研究大学の認定の有無にかかわらず広げた格好だ。
 政府は近年、国立大への影響力を強めてきた。運営費交付金を年々削減するとともに、競争的な資金配分を強化。中小の国立大は厳しい運営を強いられ、教育・研究活動や施設管理にも支障を来している。
 学長の権限も強めてきた。運営方針会議の仕組みが加われば、トップダウン型の大学運営がさらに強まるとみられる。同様の運営形態が将来、中小の国立大や私立大にも広がる可能性を指摘する声もある。
 本来、幅広い分野の教育・研究を展開することが望まれる大学が、短期の成果主義に陥ったり、政府が注力する分野の研究に傾倒したりしかねない。大学の自主性や研究の多様性が損なわれる恐れがある。
 大学の競争力強化の重要性は否定しない。だが、やり方を間違えれば研究の質や人材育成に悪影響を及ぼし、かえって競争力を失うのではないか。政府には慎重な運用が強く求められる。

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