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2023.11.06 08:00

小社会 どつき合いシリーズ

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 河島英五さんの「酒と泪(なみだ)と男と女」が十八番のご同輩は少なくないだろう。〈♪俺は男 泪は見せられないもの〉。名曲である。今はもう男だ、女だと言うのは「時代おくれ」かもしれないが。

 作家の中沢けいさんは随筆「男泣きについて」で、昔の日本の男たちはよく泣いたと書いている。「情に厚い証(あかし)としての涙を日本人は少し前までよく知っていた」。その反対語に近いとみる常とう句は、「血も涙もない」。

 ことしのプロ野球は、選手が泣く姿をよく見た気がする。阪神の大竹耕太郎投手。5月の投手戦で終盤、先制点を挙げた仲間の姿にベンチで涙した。「1人はみんなのために。みんなは1人のために」を感じたとか。リーグ優勝を決めた試合では大山悠輔選手が号泣した。4番打者の重圧が大きかったのだろう。

 関西2球団による「どついたるねんシリーズ」と呼ばれた日本シリーズでも、印象に残る涙があった。第5戦。前日まで剛速球で阪神打線を圧倒していたオリックスの中継ぎ、宇田川優希投手が八回、逆転の連打を浴びた。

 ファンの大声援で異様な雰囲気の甲子園球場。連投の疲れもあったに違いない。両膝に手を突き、うなだれた。ただ、お前は悪くないとばかりに集まり、励ます仲間の風景にオリックスの強さも見た。

 キャンプで高知に縁が深い球団同士の激闘を最終戦まで楽しめた。プロの力と情が詰まった、いい「どつき合い」だった。

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