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2023.10.22 08:00

小社会 甘くない

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 高知市の住宅街を歩いていると甘い香りが漂ってきた。かすかではあるが、確かに感じるこの匂いはキンモクセイ。少し先の民家からだろう。庭木がオレンジ色の花で彩られていた。

 その「香りが街中に立ちこめるころ、私はいつも、ひとつ年を重ねる」と俳優の石田ゆり子さんがエッセーにつづっている。誕生日前後に咲くので、幼少期から特別な愛着があるらしい。きっと毎年、甘い香りを嗅ぐたびに気持ちを新たにしてきたのだろう。

 ただ、ことしは困惑気味なのでは。石田さんは東京の出身。キンモクセイはいま都心でも満開だが、情報では例年より約2週間遅れとか。誕生日とずれてしまったに違いない。キンモクセイは高温が続いた年は開花が遅れるといわれる。

 今夏は全国的に酷暑が続いた。残暑も厳しく、高知市の先月の平均気温も9月としては観測史上最も高かった。キンモクセイまで気候の異変を示し始めたのなら、甘い香りから甘くない現実を悟る必要がある。

 参院徳島・高知選挙区補欠選挙の投票日を迎えた。甘い香りが漂う中での決戦となったが、有権者は甘くない目で候補者の資質や政策を見極め、1票を投じたい。前議員が暴行で辞職したことに伴う補選となれば、なおさらである。

 当選者は秋に甘い香りを嗅ぐたびに有権者の負託を思い起こし、気を引き締める人であってほしい。もちろん、気候変動対策にも力を入れてもらわねば。

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