2024年 05月06日(月)

現在
6時間後

こんにちはゲスト様

2023.10.17 08:00

【細田議長会見】説明欠いたまま幕引きか

SHARE

 公正中立であるべき三権の長が説明責任を果たさない。率先して疑惑を払拭しようとせず、そのまま幕引きをもくろむ。これでは国権の最高機関の権威が揺らいでしまう。国会軽視の風潮を助長する姿勢を容認することはできない。
 細田博之衆院議長が、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との接点が発覚して初めて会見に応じた。昨年7月の安倍晋三元首相銃撃事件を受け、自民党議員と教団との接点が相次いで発覚した。細田氏は、自民の清和政策研究会(現安倍派)会長を務めた経緯がある。
 これまでに細田氏は教団との接点を認めてはいるが、昨秋に2回文書を公表しただけで、会見など公の場での説明を拒み続けてきた。自民の所属国会議員への調査は党会派の離脱中を理由に対象外とされた。こうした対応は不信感を高めてきた。
 会見で細田氏は、安倍氏の父、晋太郎元外相らの名前を挙げ「長い関係、流れがあるのは知っている」とした。一方で、自身と教団との関係は「会合に呼ばれれば出る程度で、特別な関係はない」と位置付けた。
 しかし、その説明では説得力に欠ける。2019年に名古屋市で開かれた教団関連団体の会議では「安倍氏に報告したい」と述べている。これはサービスで言っただけで、安倍氏には報告していないと釈明したが、教団が政治との濃密な関係を打ち出すのに都合のよい発言だ。そう述べた理由は軽視できない。
 また、国政選挙で教団票を差配したことはないと否定した。だが、党と教団との関係や、政策がゆがめられていないか疑念は根強い。
 自民は旧統一教会との関係断絶を宣言した。しかし、世論調査では、自民が関係を断てたとは思わないとする意見が自民支持層でも4割を超える。こうした不信感と向き合わなければ信頼は取り戻せない。
 セクハラ疑惑については、被害申告がなく「単なるうわさ話」と事実関係を認めず、被害申告をしづらいという事案の性質には配慮しない主張を展開した。岸田文雄首相は「名乗り出る人がいなければセクハラではないという考えは適切ではない」との考えを示すが、こうした認識は広がっていないようだ。
 会見の在り方にも疑問が向けられる。そもそも細田氏は会見を、体調不良を理由に議長辞任を表明する場と位置付けていたようだ。会見時間は30分で、参加は国会を取材する記者クラブ加盟社から各社1人とすることなどを求めた。実際は変更されたが、時間や質問者を制約していては質疑が深まるはずはない。
 細田氏は議長辞任表明の一方、議員活動は続けるとし、次期衆院選への意欲を示した。職責の違いはあるにしても、この対応は極めて分かりにくい。現状をやり過ごそうとしても反発を招くだけだ。
 説明責任を果たそうとしない動きが強まるようでは政治の信頼は高まらない。旧統一教会と政治の関係への関心は高い。解明へ首相は指導力を発揮する必要がある。

高知のニュース 社説

注目の記事

アクセスランキング

  • 24時間

  • 1週間

  • 1ヶ月