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2023.10.17 08:00

小社会 トンデモ条例

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 議会が知事や市町村長の応援団では、チェック機能も存在感も失われていく。政策立案力を高めないと。そんな議会改革の機運が高まっていた8年前、東京での報告会を取材したことがある。

 横浜市議会の議員が登壇した。中小企業の振興やがん撲滅対策について、議員提案の条例を作ったという。「市当局と折衝し、各議員の地元から話を持ち寄り、団体と意見交換し、パブリックコメントをやり…」。首長よりも議員は住民に近いはず。地域の声を吸い上げる過程は大事にしたようだった。

 翻って、この民意とのズレは何だろう。埼玉県議会で自民党県議団が提出した虐待禁止条例改正案が撤回に追い込まれた。子どもだけの留守番や登下校、公園での遊びが「放置」に当たる。そんな説明に世間の不安と反発が高まった。

 「子どもや親を家庭に縛り付ける」。ひとり親や共働きの家庭も対応が難しかろう。ヒット映画「翔んで埼玉」のしゃれではあるまいが、「トンデモ条例」というやゆも。地域の声を吸い上げる過程はどうだったのか。

 もう一つ、気になる側面を思う。今春の埼玉県議選の投票率は35%弱。この低率で過半数を占めた政党が主導し、条例案は成立寸前までいった。トンデモ条例の危機は、ふだんの政治への無関心も反映していないかどうか。

 県内では、参院補選に各自治体選挙が重なる秋が深まっていく。他山の石とすべきなのかもしれない。

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