「秋」

2023.09.22 05:00

高知新聞社

昭和(しょうわ)19年(ねん)、ぼくの秋(あき)
　暑(あつ)さが落(お)ち着(つ)くと秋(あき)の気配(けはい)ですね。秋(あき)といえば、紅葉(こうよう)、運動会(うんどうかい)、栗(くり)、柿(かき)、トンボにコスモス…。わたしには美味(おい)しくて出(で)かけたくなる季節(きせつ)です。

　今(いま)から７９年前(ねんまえ)、昭和(しょうわ)１９年(ねん)の秋(あき)はどんなだったでしょうか？その時(とき)１８才(さい)だった少年(しょうねん)が経験(けいけん)した秋(あき)のおはなしです。

　アメリカと日本(にほん)は戦争(せんそう)をしていました。小学生(しょうがくせい)は家族(かぞく)と離(はな)れて山奥(やまおく)へ、中学生(ちゅうがくせい)は農家(のうか)のお手伝(てつだ)い、高校生(こうこうせい)は兵器(へいき)を作(つく)る工場(こうじょう)で働(はたら)いていたそうです。

　戦争(せんそう)で資材(しざい)を使(つか)うため釘(くぎ)一本(いっぽん)さえ買(か)えず、食(た)べ物(もの)にも不自由(ふじゆう)な毎日(まいにち)。そして、普通(ふつう)に生(い)きてきた人(ひと)たちが自分(じぶん)の意志(いし)でなく、戦争(せんそう)という大(おお)きな力(ちから)の前(まえ)で無理(むり)やり人生(じんせい)を終(お)えてしまいます。少年(しょうねん)は戦争(せんそう)が終(お)わってほしいと心(こころ)から願(ねが)いました。大人(おとな)になった少年(しょうねん)は子(こ)どもたちの本(ほん)を５００冊(さつ)以上(いじょう)書(か)きます。そして、この本(ほん)は少年(しょうねん)が亡(な)くなった後(あと)に見(み)つかり、出版(しゅっぱん)されました。（ＮＰＯ法人(ほうじん)高知(こうち)こどもの図書館(としょかん)　松川()智子()）

「秋」　かこさとし／文・絵　講談社　小学校高学年以上

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