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2023.08.27 08:00

小社会 おおとよ製材10年

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 県内の山はここ数年、伐採が盛んだったようだ。昨年1年間の原木生産量は73万立方メートル。初めて70万を超え、最大だったと先月報じられていた。

 コロナ禍で木の需給が乱れるウッドショックが影響したという。相場が上がり、山主が伐採に意欲的だった。皆伐後の放置が増える心配はあるが、山にお金が落ちたのならよかった。

 それにしても、70万立方メートルと言われても何かピンと来ない。安易だが、東京ドームを「器」に見立てると―。容積は124万立方メートル。つまり、ドームの6割を満たす木が昨年県内から出た。これは多いのか少ないのか。ちなみに、県内の木の蓄積量は推計2億立方メートル、ドーム160個分で、年2個分ほど成長するらしい。そう考えれば、まだ伐採の余地はあるようにも思える。

 改めて驚くのは先人の植林の労か。ただ、本県はその労になかなか応えられなかった。木を加工する力も売る力もない時期が続き、そこで県などが誘致したのが、岡山県の銘建工業という有力製材会社。

 同社が母体の「高知おおとよ製材」が操業を始めて、きのうで10年になる。山あり谷ありの歩みだったようだが、節目に当たり、誘致の成果と課題はしっかり振り返りたい。

 もっとも、100年以上の木のサイクルを思えば、10年の区切りはいかにも半端である。環境や文化的な切り口を持つ山を経済的な視点のみでも語れない。その奥深さを思い、畏敬の念を持って山々を見渡す。

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