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2023.08.11 08:00

【日大の違法薬物】危機管理になおも課題

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 作家の林真理子氏を理事長に迎えて再生を目指したものの、改革は道半ばだったということだろう。覚醒剤と大麻を所持したとしてアメリカンフットボール部員が逮捕された事件を受け、日本大は記者会見を開いたが、また危機管理のまずさを露呈した。
 複数回にわたって薬物使用の疑いがあるとの情報を受けながら、大学の甘い対応が事件の発覚や捜査の遅れにつながったのは明らかだ。コンプライアンス(法令順守)とガバナンス(組織統治)にまだ課題が多いことを印象づけた。
 日大では2018年、アメフト部員による「悪質タックル」が社会問題化し、ワンマン体制で知られた元理事長は21年に脱税事件で逮捕されるなど不祥事が続いた。20年1月にはラグビー部員も大麻取締法違反(所持)の疑いで逮捕されている。昨年7月から新体制で改革に取り組んできたものの、今回の対応でも内向きな体質が垣間見えた。
 日大の説明では、昨秋の保護者会で大麻に関する情報提供があり、11月下旬になって部員が「大麻のようなものを吸った」と申告した。相談した警察関係者から事実の立証は困難との見解が示されたとして、地元の警察署に届けなかったという。
 その後も再び、警察や匿名の人物から複数回の情報提供があり、大学側が7月初旬にアメフト部の寮内を調査。部員の部屋でポリ袋に入った不審物が見つかった。しかし、警視庁に報告したのは12日もたってからで、不審物は警察の鑑定で大麻と覚醒剤と判明した。
 大学は「反省を求め、自首させるのが大学の責務だ」と対応の適切さを強調したが、社会の意識とあまりに乖離(かいり)していないか。昨秋の相談は日大出身の警察官が個人的に応じたものといい、捜査機関の正式な見解ではない。それを根拠に警察に届け出なかったと主張しても、隠蔽(いんぺい)を疑われるのは当然だ。
 さらに、不審物が見つかりながら警察への報告が遅れたのも極めて不適切といえる。大麻や覚醒剤は所持するだけで犯罪になる。大学に違法薬物を保管する権限はあるまい。
 大学の運営で自主性が尊重されるのは当然だとしても、刑事事件の対応は早期に捜査機関に委ねるべきだった。毅然(きぜん)とした対応を取らなかったことで、信頼回復は遠のいたのではないか。
 近年「ゲートウエー(入り口)ドラッグ」とも呼ばれる大麻に絡んで摘発される若者が増加傾向にある。22年に摘発された約5300人のうち、20代以下が7割を占める。日大以外の強豪運動部でも逮捕者が相次いでいる。
 専門家はインターネットを通じて違法薬物を入手しやすい環境や、運動部の濃密な人間関係を背景に指摘する。大学もどこまでプライベートに関与するかは難しい判断になるが、発覚した場合は厳正な姿勢で対処することが基本だろう。警察などと連携して、違法薬物に関する啓発にも力を入れる必要がある。

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