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2023.06.24 08:40

【全文公開】けん玉で学級課題解決!? 失敗を恐れる現代っ子がトライ&エラー 自己肯定感もUP 高知大学教育学部・福住紀明准教授―研究最前線

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けん玉先生「ずーみん」こと福住紀明准教授。玉の大きさが直径18センチの巨大けん玉でポーズを取る(高知市曙町2丁目の高知大学)

けん玉先生「ずーみん」こと福住紀明准教授。玉の大きさが直径18センチの巨大けん玉でポーズを取る(高知市曙町2丁目の高知大学)

 けん玉は、子どもに必要な自己肯定感を高める!!そう語るのは教育学部発達心理学研究室の福住紀明准教授(43)。専門とする学校心理学の視点から、けん玉を活用した研究に取り組んでいる。「たかがけん玉、されど―。けん玉は奥が深いんです」。隠れた魅力と、教育への影響について語った。

 小学校の学級課題を、けん玉で解決しようという、全国でもほぼ類を見ない研究を進めています。けん玉のどこにそんなパワーが?と思われるかもしれません。教育という視点から見ると、非常に面白いツールと分かってきたんです。

 けん玉は昔から親しまれてきた玩具。難易度がさまざまで多彩な技があり、常に新しい遊び方に挑戦できる特徴があります。

 現代の子どもは失敗を恐れる傾向があるとよく言われます。何かを新しくできるようになる経験は、大きく成長させる要素です。その点、けん玉はトライ&エラーの繰り返しで、もってこい。技に挑戦し、失敗から学ぶ経験はもちろん、集中力やバランス感覚を養うこともできます。

「筒けん」でタワーをつくる土居小児童(安芸市土居)

「筒けん」でタワーをつくる土居小児童(安芸市土居)

 複数で楽しむけん玉遊びには、集団におけるコミュニケーション能力や達成感の共有といったソーシャルスキルの育成に役立つという側面があります。比較的キャッチが容易な「筒けん」は、音楽やダンスを組み合わせると新たな感動を体験できます。

 私は、けん玉先生「ずーみん」となり、小学校を訪れて体験授業を行っています。授業を通して、子どもたちにどのような変化があったか、学級にどのような影響があったかをデータとしてまとめ、子どもの成長や先生のスキルの向上、学級経営にも役立ててもらうことを目標にしています。

北原小児童が協力して技を考える(土佐市北地)

北原小児童が協力して技を考える(土佐市北地)

 土佐市の北原小学校には昨年度から仲間づくりの授業に訪れています。大切なのは、できる、できないにかかわらず、受け止めること。それぞれの子どもに合った目標を決め、達成できなくても「ここまでできたね」と認める。頑張った過程を「集中してたよ」「あきらめずにやれてるよ」とほめる。友達を応援したり一緒に技を決めてハイタッチしたりする姿も見られました。

 そして、どうやったら目標をクリアできるかを考える。勉強と同じで、点数を取るだけではなく振り返りが大事なんです。成功体験を重ねることで、ウェルビーイング(幸福度)の向上につながります。子どもが不登校から立ち直った例もありました。

 できなかったことができるようになる喜び、友達と助け合って頑張っていくという関係性―。けん玉を通して子どもの可能性を引き出したい。何か新しいことに挑戦するきっかけをつくりたいと思っています。

福住准教授の研究室に並ぶ100個以上のけん玉。自費で購入しているという

福住准教授の研究室に並ぶ100個以上のけん玉。自費で購入しているという

実は高知と縁深い
 けん玉と言えば南国市出身の演歌歌手、三山ひろしさんを連想される方が多いのではないでしょうか。実は、高知県とけん玉の縁は深く、2021年にはグローバルけん玉ネットワーク(GLOKEN)が主催するけん玉ワールドカップの都道府県の部門で、高知県が1位になりました。教員が多く参加する「103DAMA(とさだま)」というチームもあります。くろしおくんのけん玉も販売されていますね。

 けん玉の起源にはいろいろ説があります。16世紀フランスで、王様のアンリ3世が子どもの間ではやっていた「ビルボケ」を楽しみ、庶民から貴族の遊びとしても広まったとの記録があります。

 日本の学校でけん玉が紹介されたのは、1876(明治9)年7月。文部省(現在の文部科学省)が、イギリスの教科書を翻訳し「童女筌(どうじょせん)」を発行しました。1919(大正8)年の5月14日に広島県廿日市市で今のけん玉の形が考案され、その日は「けん玉の日」に制定されています。

(高知大学×高知新聞 共同編集)

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