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2023.06.09 08:00

小社会 番狂わせ

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 格下のチームが練り込まれた戦略と高い士気で強敵を倒す。ジャイアントキリング(番狂わせ)のストーリーには勝負の醍醐味(だいごみ)が詰まっていて、いつ見ても痛快だ。それが地元チームなら、なおさらだろう。

 サッカーの天皇杯で、JFLの高知ユナイテッドSCがJ1のガンバ大阪を破った。サッカー部に所属する息子に付き添い、たまに高知SCのリーグ戦を観戦する筆者。結果速報を聞き、試合動画にかじりついた。

 バスケットなどと違い得点が入りにくく、ロースコア対決になりがちなサッカーは「何が起こるか分からない」のが定説だ。とりわけ、天皇杯はカテゴリーの垣根を払った唯一のタイトル。J1勢は緒戦は戦力を調整し、番狂わせが起こりやすい。

 だが、それが容易でなかったのは、試合後にピッチに崩れ落ちた高知の選手らの姿が物語る。働きながらプレーする選手も多く、練習環境や待遇のハンディをはね返した。サッカー界でよく使われる「新しい景色」を県民に見せてくれた。

 人も企業も少ない高知には、例えば浦和のレッズ、野球なら広島のカープといった地域のアイデンティティーになるほどのプロチームがまだない。もしあれば、スポーツを支え楽しむ文化がもっと根付くのだろうが。

 高知SCがステップアップし、そういう存在になれば―。番狂わせは弱者にしか起こせない。いつか起こされる側に、とも思わせた今回の金星である。

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