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2023.05.13 08:00

【入管法改正案】迫害の懸念が尽きない

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 外国人の収容や送還のルールを見直す入管難民法改正案が衆院を通過し、議論の場は参院へと移った。ただ、衆院での議論を通じてなお、国内外から「迫害の恐れがある人を送還してしまう」といった懸念の声が尽きない。
 改正案が、入管施設の長期収容解消に主眼を置いているためだ。「難民鎖国」と批判される現状の問題点は置き去りにされたままといってよい。あくまで抜本的な見直しで、国際的な水準に基づいた人権擁護の在り方を探るべきだ。
 難民条約の加盟国として、日本は国際社会で人権擁護の責務を十分に果たしていると言えるだろうか。
 2022年の難民認定数は過去最多の202人。このうち147人はアフガニスタン出身で、日本大使館の元職員や家族らが多数を占めた。21年8月の政変に絡む特殊事情を除けば、欧米と比べ極めて低い水準だ。一方、不認定は1万人を超えた。保護されるべき難民を保護できたか。現状には懸念が付きまとう。
 今回の改正案も、根本的な問題への解決策にはなっていない。不法滞在などで退去強制命令を受けながら退去を拒む外国人の送還を進め、入管施設の長期収容を解消することが狙いだからだ。
 現行法は、難民認定申請中は強制送還されないと規定する。政府は、送還逃れのためにこの規定が乱用されているとして、申請を原則2回に制限。3回目の難民申請以降は「認定すべき相当の理由」を示さなければ送還するよう改める。
 だが、難民認定がこれだけ狭き門であれば、母国で迫害を受ける可能性が高い当事者らは、何度でも申請せざるを得なかっただろう。実際に複数回目の申請や裁判で認定された例は多い。回数で区切られれば、保護されるべき人が送還される懸念も膨らむ。
 改正案には、収容に代えて社会で生活できる「監理措置」や、難民に準じる人に「補完的保護対象者」として在留を認める新制度も盛り込む。人権侵害とも批判される「原則収容主義」への批判などを意識した対応だろう。
 しかし、いずれも運用は入管の裁量に委ねられ、恣意(しい)的に判断される恐れがある。収容期間の上限もないままだ。どこまで「収容主義」の転換につながるかは見通せない。
 改正案に対しては、国連の特別報告者が4月、「国際人権基準を下回っており、徹底的な見直しを強く求める」とする公開書簡を政府に提出している。一部野党が第三者機関による審査制度などを求めたものの、協議がまとまらずに反映されなかった。
 今の改正案では国際的な批判が一層強まりかねない。収容の判断や難民認定の審査に司法機関が関与するなど、制度の透明性を高めなければ当事者らの不安は解消されまい。
 野党側はこうした指摘を踏まえた対案を共同提出している。参院での議論では、国会としてよりよい制度にする視点を求めたい。

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