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2023.05.07 08:00

小社会 水と地震

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 学生の時だったか、「デンバー地震」について習ったのを覚えている。1960年代の米コロラド州デンバー。それまで地震らしい地震がなかった地域に、揺れが頻発する。

 当初は自然の地震現象と考えられていたが、やがて判明した原因に市民も学者も仰天する。近郊の米軍兵器工場が廃液を地下に注入する方法で処分しており、その廃液の動きが揺れを引き起こしていた。人工地震だった。

 まるで映画のような話だが、廃液の処分方法もさることながら、地下の液体が持つ力の大きさに驚かされる。その後、研究が進んで、自然界でも地下では、マグマ以外に水などの流体が地震に影響していることが分かってきた。

 石川県珠洲(すず)市で震度6強の地震が起きた。気象庁などによると、周辺では2020年12月ごろから地震が活発化していて、これこそ地下の水が誘発しているとみられる現象という。水が岩盤を押し上げたり、割れ目に入り岩盤を崩れやすくしたりしているらしい。

 地元の皆さんはさぞかし不安な毎日だろう。人工地震なら、原因が分かれば止め方もあるだろうが、自然の現象となるとそうもいかない。建物の耐震性を上げたり、家具の固定をしたりと、引き続き地道な備えが求められる。

 行楽ムードに包まれた大型連休中であっても地震は容赦なく来る。高知県も気が抜けない。南海トラフ巨大地震では、津波という別の恐ろしい水も押し寄せる。

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