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2023.05.01 08:00

小社会 考える

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 小型の電卓が出回り始めた昭和40年代半ば、メーカーには小学校のPTAなどから、こんな声が届くようになったという。「教育上問題がある」。宿題に電卓を使ってしまうと、頭を使わなくなるのでは、との心配だった。

 当時はそれほど画期的で衝撃的な機械だったのだろう。いまでは「要は使い方」と言えるようになり、大人になると電卓や表計算ソフトの利用が当たり前になっている。

 戦後、やり玉に挙がった技術にはテレビもある。有名なのは評論家の大宅壮一が喝破した「一億総白痴化」だろうか。刺激の強い情報がどんどん流され、人は考えることを忘れるとした。こちらはいまなお功罪が問われ続けている。

 現在最も悩ましい話題の技術といえば人工知能(AI)「チャットGPT」だろう。分析力や文章力に優れ、利用が進むが、やはり思考力の低下が心配されている。きのうの本紙にも県内大学の苦悩が載っていた。

 自治体でも導入の検討が進んでいるが、鳥取県は答弁の作成や予算編成での利用を禁じるという。政策を「機械が生み出した言葉だけで決めるのは民主主義の放棄だ」と平井伸治知事。AIの使い方は群馬で開かれた先進7カ国(G7)デジタル・技術相会合でも話し合った。

 今後はどこまでが人間の領域かという本質的な議論になってきそうだ。ここはAIと違い、人間らしく論議を進めなければ。考えに考え、悩みに悩んで。

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