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2023.04.11 08:40

高知のよさこい 4競演場も“復活” 資金難でも「地域の維持を」〈高知 よさこい 2023〉

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2019年のよさこい祭り。今年は70回記念で例年より踊り子の数が増えると想定されている

2019年のよさこい祭り。今年は70回記念で例年より踊り子の数が増えると想定されている

 今夏のよさこい祭りが、例年通りの開催となることが決まった。昨年の「特別演舞」会場には名前がなかった菜園場、愛宕、升形、梅ノ辻の4競演場も参加。実に4年ぶりに鳴子の音が商店街に響くことになる。ただ、どこも人手不足や運営費の不安を抱え、「商店街の力だけでの開催は無理筋だ」との声も。それでもやるという理由は何か。話を聞いた。

 各競演場はそれぞれ、よさこい祭振興会の補助金や商店街の予算、地元企業の寄付などで運営される。地元からの寄付は町の商店が姿を消す中で、年々減ってきている所が少なくない。

 菜園場競演場の責任者、福島紀子(としこ)さんは「給水所とか飾り付けとか、メダル作りとか。物価高もあって以前よりお金がかかる」と嘆く。それでも「今年は記念の70年。赤字を出してでもやりたい」と前を向く。

 升形競演場を切り盛りする田島明さん(73)も「昔は商店街のお祭りとしてやってきた。だが今は地域を超えた観光イベントとなった。商店街だけでは続けられない」と首を振る。

 「今までも無理をしてやってきた。4年間のブランクがあるので、今まで手伝いに来てくれた人が来てくれるかどうか」と不安を口にしつつも、「升形の存在感、連帯感を守るためにやる」と、自身に気合を入れた。

 「愛宕の夏を取り返す」を合言葉に掲げるのは、競演場実行委員長の矢原道貴さん(28)。今年もツイッターで運営スタッフを募集する。2020年に販売して好評を得た、商店街のネオン看板をデザインしたタオルを販売して運営費の足しにする予定という。愛宕商店街の理事長、小野大典さん(65)は中止の3年間、住民から「祭りがないとさみしい」の声も届いたと明かし、「再開は町の活性化というより、地域を維持していくため」。商店街で実施していた夏祭りもなくなり、よさこいが貴重なコミュニティーの場だと訴えた。

 「よさこいがある風景こそ『梅ノ辻の夏』や」と語るのは、梅ノ辻競演場の運営実行委員長を長く務めた北村元身さん(73)だ。実行委の母体は町内会で、「第1回をやった人の不安から比べたら、再出発はどうということはない。規模を小さくする気は毛頭ない」ときっぱり。今年、委員長を引き継いだ服部一浩さん(50)らと6月から寄付回りを始める。

 よさこい祭振興会は「競演場の担い手不足は長年の課題」として、初めて高知市役所や県庁の若手職員の協力を得て「運営をお手伝いするよう取り組む」とした。

 ■  ■ 

 昨年の特別演舞を見合わせたチームの中には、既に出場を決めたチームがある。その一つが、よさこい大賞に何度も輝いた「十人十彩」。昨年は新型コロナの感染拡大が続く中、「踊りの列の入れ替えが激しくリモートでの練習は難しい」「医療従事者の踊り子が多い」として出場を断念したが、今年は「5月にコロナが5類に移行し、通常開催も実現する」「踊り子が離れていくのは避けたい」として春に出場を決めたという。

 一方、病院名を掲げるチームは今年も不参加の方針だ。関係者は「参加したい気持ちは120%。ただ、立場上、クラスター(感染者集団)を発生させてはいけない」と話した。

 それぞれが葛藤を抱える中、よさこいは記念の70年目を迎える。(村瀬佐保、竹内悠理菜)

高知のニュース よさこい祭り

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