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2023.04.05 05:00

小社会 「らんまん」始まる

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 週末の深夜、高知市の電車通り沿いの道を歩いていた。ちょうネクタイが路上に落ちているのを見つけた。そのようにマスクが打ち捨てられているのは、もうすっかり見慣れた光景となってしまったが、この落とし物は愉快な想像を誘った。

 宴席だったのか。ちょうネクタイの他に丸メガネや帽子も身に着けていたのか。落とし主を思って笑みがこぼれる。

 先ごろの県観光博覧会の開幕式典に、それらのアイテムをまとった浜田省司知事が現れた。この人らしからぬパフォーマンスだったが、なるほど坂本龍馬の扮装(ふんそう)よりは牧野博士のほうがふさわしい。

 「朝ドラはこのまま始まらない方がいいですね」。半ば冗談半ば本音でドラマを作っているNHKの人たちに軽口をたたいていた。昨年2月の制作発表から、私たち県民は博士のドラマ実現を心から喜び、何かできることはないかと考えてきた。どうにもやるせない数年の世の中の停滞にあって「この春こそは」との祈りも重なった一体感だった。

 待望のドラマは3日から始まった。初回冒頭の安芸市伊尾木洞の幽玄で美しい映像に息をのみ、タイトルバックの仁淀川や天狗高原の風景のすがすがしさに心洗われ、続々登場する博士ゆかりの植物に目を見張る。

 そんな映像とともに流れるあいみょんさんの「愛の花」の一節に涙がこぼれる。〈私は決して今を憎んではいない/命ある日々/静かに誰かを愛した日々〉

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